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Re: 愛と優しさと罪悪感と。 ( No.5 )
日時: 2015/08/25 21:27
名前: *水沢麻莉衣* (ID: m9NLROFC)

「だぁーからいったじゃん?」

リイアは呆れてものも言えない、とルリに冷たく吐き捨てる。
だって……無理だもん……。
リイアはルリに怒ってるの……?

「ご、ごめんて……りいあ…っ!
じゃあ……ルリはどうすればよかったの!?ルリにだって焦ってるんだよっ……!
このままじゃ、れーとはかぐやさんのモノのままだって!」

「そんなのわかりきってたじゃん。
それなのに……あんたは何もしなかったんだよ」

……っそんなこと知ってたよ……っ!
でも……っ!
それでも……っどうにもできなかったんだよ!
なにも……。
なにも……、やらなかった?
やらなかったんじゃない。
出来なかったんだ。
そうだよ、ほんとだよ。

「ルリ……っあんたは馬鹿だよ、大馬鹿だったんだよ。
これじゃ、玲斗くんあんたの元には行かない。
ふりむかないよ……絶対にね」

「そんなの……っ知ってたよ……っ!
でもっ!!何をしようと、ルリが本気でやったところで……っ何もできなかった……玲斗はもうかぐやさんしか……見てないっ」

「そんなの知ってんじゃん!最初から……!それでも……っもがいて足掻いて苦しむのが恋なんだ……!」

リイアはルリのために怒ってる。
いや、叱ってくれてるんだ。
そのことは……わかっていた。
わかっていたはずなのに……っ。
なのに……リイアが……っ。
見てて嫌になる……!
憎しみとは違う。何かが……っ!!

「かぐやさんと玲斗君は、帰っちゃったんでしょ?」

「……うん」

「それならチャンスだ。
しっかり頭冷やしなよ……ちゃんと考えな」

「……っうん……!」

温かい。
リイアが温かい。
そばにいてくれる。

「あんたには私が必要……。
それと同じように……かぐやさんには玲斗くんが必要なの。
それぞれ頼る人が違って、立場も違う。
けど……私はあんたのルリの見方なの」

「……っりいあ……っうあっ……うわあああっん……」

ルリは泣いた。
次の日に朝日が登るまで泣いた。
リイアはずっと隣にいてくれた。

****************かぐや

「……ルリさん……」

私が頭に思い浮かべるのはたった1人。
玲斗だけ。
それなのにルリさんはたった1人の玲斗を私から奪おうとしている。
きっとルリさんは玲斗が好き。
それくらいは見ていてわかる。
それでもわたしはどうしようもないくらい、玲斗が好き。

私には……玲斗しかいない。
お母さんもお父さんも……いないもの同然。
だから、玲斗はとても特別だった。
そう。
今までも……これからも……ずっと。

それなのに、玲斗は最初から私を見ていない。
多分、そう……。
責任感なのだと思う。
責任感から私と一緒にいる。

ルリさんに見せる表情……。
私には見せない表情がある。

苦しい。
ああ、これが恋……。
そう、実感できてしまうほどの恋だった。
私なりの恋。
玲斗を譲りたくはない。
これが本心。

だから……私は何度も確認するの。
玲斗……、私の事好き?私の事愛してる?
私の事守ってくれる……?
そばにいてくれる?

これが私の束縛。

ねぇ、玲斗……。
そばにいてくれるでしょう?

****************

「ルリ?おはよ、おきてる?」

「おきてる……けどおきたくない」

「なーにダダこねてんの?ばかね」

ルリらしくない。
リイアはそう言った。

ねぇ、リイア?
ルリらしいってなに?

ルリってなに?

ルリってだれなの?

ルリはどうしてここにいるの?

なんのために存在しているの?

生きてるから?

だからここにいる?

そんな単純な動機なの?

ねぇ?

誰か?

教えてください。

「ルリ。あんたは玲斗くんに会いに行くべきなの」

「なんで?
それでどうするの!?
また、あんなとこ見せつけられてるの!?
そんなの絶対に嫌だよ!!」

なんでリイアはわかってくれないの!?
傷ついたんだ。
あんなの見せつけられて、ルリはもう無理だって思った。
諦めよう、って。
心に決めた。
少しづつ慣れるって。
リイア……、わかってよ。
ルリは忘れたいの。

玲斗の優しい思い出なんかいらない。
そんなの……いらないの。
かぐやさんと玲斗のためにも……忘れるの。
それが一番なはずなのに。
どうして?
こんなに悔しいの?

「それがあんたの心。
諦めたくない。それが心なの」

「そんなこと……ないのに……」

「忘れたいことなんて誰でもある。それでも、忘れちゃ行けない思い出だってあるはずだ。
ほんとうに?全部忘れていいの?心に聞いてからにしなよ。

楽しかった思い出。
辛かった思い出。
悲しかった思い出。
優しい思い出ーーーー。

誰だって持ってるんだ。
その忘れちゃいけない思い出までも……あんたは全部消す気なんだ。
そんなことがあっていいはずない。
私がいるのに止めなくていいはずない。そうでしょ?」

「……諦めたくないっ」

「そう。それがあんたの本心だ。
ぶつかんなよ。ぶつかりまくれ!!
メンタルなんてきにするな!負けるな!一番の、ライバルは誰?
かぐやさんじゃない。
負けてしまう……あんたの心なんだよ!」

「……頑張る……っ諦めたくないから!!」

「そうだよ……ルリ……」

ぶつかろう。全身で。
玲斗、今度こそ、私の方を振り向いて……。