第一楽章———やっと、帰ってきた——。帰ってきた故郷の姿はもう原型をなくして。確かあそこには…あったはず。「——……」コツンとピアノを触ると、いつも通りの音。(ピアノは…。ピアノは、大丈夫だった)大空に響く、ピアノの音は。少しだけ安心できる。これから、どうすれば良いの?——今宵にひとりひとりぼっち。