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Re: 冷めた太陽 ∇第2章入学 更新中∇ ( No.37 )
日時: 2015/10/04 11:01
名前: ぽんた。 (ID: ylDPAVSi)

∇∇∇ーー決心ーー∇∇∇

「さむっ」
 夏服のセーラー服で飛び出した私は、今が冬だったことに気づく。
 どうしよう。1回家に帰る? でもそしたらなんだかばつが悪いし……。でも帰って着替えないと寒いし……。
「あっ、魔法!」
 そう思ったけど、ペンダントとリングを外して飛び出て来た事にもすぐ気づく。まあ、あったところで魔法なんて使えないんだけど。
「帰るしか……ないか……。」
 家の玄関を開けると、お母さんが微笑んで立っていた。さすがにそれにはびっくりして、声をあげてしまった。
「寒かったんでしょ?」
 笑いながら私に向ってそう言う。全部分かってたの……?
「そのくらい分かるわよ。さ、着替え用意してるから、はやくあがりなさい。」
 そうだ、この人は人の考えてる事がわかるんだった。久しぶりで忘れてたけど。
 靴を脱いで、リビングの扉を開ける。その瞬間、肌が温もりを持つのが分かる。私は側に掛かっていた冬服のセーラー服に着替える。
「柚月、少し話そうか。」
 お母さんはソファに腰掛けている。私は頷いて正面のソファに腰掛ける。
「柚月、さっきの話なんだけど……。」
「友達から忘れられるって話……だよね?」
 お母さんは頷く。そして続ける。
「忘れられるのは、魔界アスタチアの掟なの。だから、誰にも変えられない。でも、ひとつだけ、アスタチアの掟を破ってもいいという物もあるの」
 アスタチアの掟を……破ってもいい?
「それは、限られているんだけどね、それらは全て、魔法でなければ破ってはいけないの。その一つに、『魔界アスタチアに来るものは人間の記憶から消去される。』があるの。」
 私は小さい頭をフル回転させ、話の内容を整理する。
「えっと……つまり、人間の記憶にまた私の存在が現れる魔法を使えば、その掟を破れるってこと?」
 お母さんは、「そういうこと。」と言う様にゆっくりと頷く。
「はい、これ。」
 そう言ってテーブルに出したのは、私のペンダントとリング……。
 私は静かにそれを身に着けた。不思議な感覚にまた身を包まれる。
「あなたはきっと、その魔法を見つける事ができるわ。だから、それまでツライかもしれないけど、諦めずに頑張って。」
 私は魔法使いになる事を、心の中で決心した。多分、お母さんにはバレてるけど。