コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ムニキス【リメイク】 ( No.10 )
- 日時: 2015/11/13 23:02
- 名前: はるたろう (ID: kYVZ4jCI)
アルフォンス・グッドマンという人物を、道行く人物に問いかけると10人中1人は知っていると答える。『絶対正義の戦争屋』と、彼らは必ず言った。
争いではどれだけ間違っていようとも、勝利すれば正義だ。その為には生き残る必要がある。だからアルフォンスの障害が必要だった。
「…グッドマン。僕はイイ男なんだよ」
「も、もう、もう充分に分かりましたあ!!」
手首にナイフをあて、滴る血を得意気に見せながらアルフォンスはかれこれ5分ほど話をしていた。どれだけ血を抜かれてもどれだけ深く刺されても、死には至らないことがよく分かった。
まさか、握手だと思い、出された手に手を重ねようとすると、いきなりナイフを取り出しては自分の脈打つ手を、果物を分けるようにして切りるとは。血が吹き出た温泉のように沸くが、アルフォンスの表情はニコニコと笑っていた。
「ダリルと同じ反応だな……」珍しいものを見る顔付きで、ジジの顔を覗きこむ。
「…アルフォンス様」
「おお、ナディア。久しいな。またゴツくなったんじゃないか?んん?」
「レディに言う言葉ではありません。飯の…あ、いや、お食事の用意が出来ましたよ。今日はダリルが作ったので、褒めてやってください」
どこぞの親のような言葉に「誠か!それは嬉しい」とアルフォンスはにんまり笑う。
こうしてみれば、自分よりも幾つか年下の少年のようだが、本当に不死身の、絶対正義の戦争屋を仕切る者なのだろうか。
戦争屋なんて言われているが、傭兵集団と読んだ方が正しいかもしれない。ここはアルフォンス隊と呼ばれる、特殊な隊員(アルフォンスがスカウトしてきただけ)のみで構成されているものだそうだ。
「…さあ、その方よ」考えている間に、ナディアは居なくなったようだ。アルフォンスがこちらを見ている。
「障害とやらを、知ってはいるな?」続けた言葉にジジは迷った。
にこりと笑い、ただよう美味しそうな匂いの元へと姿を消した。