コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ムニキス【リメイク】 ( No.4 )
- 日時: 2015/09/14 20:09
- 名前: はるたろう (ID: OSct4JfX)
「おいおい…爪でも剥がされてーのカ…あ?」
「……………」
睨まれ、声を震わせ「わ、わかってんじゃねーカ」笑みを浮かべて、ダリルが言った。拘束された人間を見て笑うなんて、なんと悪趣味なことだろう。と、思ったが、あれは二時間もここにいる自分に呆れたのか。
苦汁を舐めたような顔だったような気がした。多分、爪を剥がすことを思い浮かべると、気持ちが悪くなったのだろう。
ジジが今いる《元》国家軍隊《現》傭兵集団は、沢山の国々から集まった人物で構成されているらしい。ここの反対側から一番遠くから、なんでも《障害付き》ばかりらしい。
目前のダリルも持っているらしいが、何か分からないので考察するのは面白い。気取った事を考えてみて、ジジは楽しかった。そうなると、自分も悪趣味になるが。
「俺様のこと、軽く思ってたら大間違いだゼ」確かに、頭は軽そうだ。外見的にも内面的にも。納得した上で「…軽くは思ってません」というウソをつく。
「オメーはムニキスに関係があるのか?ないのカ?さあ!答えロ」
「…ていうか、僕、言いましたよね?知らないって…」
「おいおいおーい!しらばっくれんじゃあねえゼ」
「アンタは人の話を聞け!!」
「そこまでにしろ…レンツォが帰る。しかも…今から昼寝の時間だ、やかましい」
ほとんど裸の女性が、ドアを蹴り破り部屋に入った。木の破片はダリルの頭に突き刺さり、その場へ倒れて動かなくなった。
目が点になったジジを見て「…驚いたかい?」慣れたように女は訊いた。
年齢は大体、四十代ほどか少し下か。男に見えなくもない、短く、痛んだブロンドの髪を揺らし、女は静かに「ナディアだ」と名乗った。ダリルの痩せ細った体をボロボロのソファに投げ、その横にナディアも腰かけた。
女とわかるのは、岩壁のようにそびえ立つ鍛え上げられた肉体には似合わない、露になった豊満な胸。目のやり場に困るジジだが、ナディアはそんな事を気にしてはいないようだ。
「さて、最初に…このアホがすまなかったな」
「いっいえ、こちらこそ…長居させてもらって…」
「それはいいんだ。しかし、これから…少しだけ質問をしたいんだが、いいか。手短に終わらせる。返答次第ではな」
背筋を伸ばしたジジを見届け、ナディアは続けた。
「我等の仲間にならないか」
と。