コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 僕と君との2年間。【オリキャラ&コメント募集中】 ( No.10 )
日時: 2017/01/13 18:06
名前: てるてる522 (ID: VNP3BWQA)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

〜第1章〜

絵に描いたような青い空。
絵に描きたくなるような白い雲。

太陽が照り付ける、夏休みの午前中...
蝉の鳴き声が鳴り響く中で、僕は1人でバス停まで歩いていた。

家からバス停まで2分、更にバスに乗って病院まで30分。

この何とも言えない距離を──これから会いたい人のために……行こうとしている。

別に僕の家族の誰かの見舞いとかでは無い。
いたって健康な家系だし、入院なんてしないだろう。

会いたい人……。
〝白洲美紀〟
そいつに会いに行くのだ。

幼い時からいつもずっと隣で笑っていた君に。


ある日突然、未希は僕目の前から消えてしまった。
もう会えないと思っていたが、僕の親は消えた事情を知っていて、未希が居るでという病院を教えて貰った。

照れくさくて今更会って何を話せば良いのか分からないけど……。

───その気持ちを焦げつけるかのように太陽は容赦無く僕の頭上から照りつける。


「次は永濱病院前ー、永濱病院前ー。 御降りの方はボタンを押して下さい。」

バスのアナウンスに反応して、俺はボタンを押そうと手を伸ばした。
すると、前に座っていた人がボタンを押した。

軽快に弾んだ音が乗車内に響く。

……大した事でも無いのについつい競い合ってしまうこの気持ちは恐らくこれからも消えないだろう。

「ぷしゅーっ」というドアの開く音がして、僕はお金を払って降りた。


此処に未希が居るんだ……───

今にも襲ってきそうな雰囲気を醸し出し、ずんと立つ病院のへと向かった。


**

「進、来てくれたんだ!」
目を細めて笑う未希を見て、俺は安心した。
──変わってない。あの頃の未希のままだ……。

もう少し元気無いかなとか考えてた...

「これ、お見舞いの向日葵……」
そっと差し出した向日葵の花を見て未希の表情は一気に明るくなったのが分かった。

「おぉ吃驚した! 綺麗だね〜」
病院に行く時、お母さんに無理やり持たされた時は恥ずかしかったけど今となっては良かったな……。
そう思って、チラッと横を見ると嬉しそうに鼻歌を歌いながら、向日葵にも負けないくらい明るい笑顔が咲いている美希がいた。

するとドアが開いて、誰かが入ってきた。
僕が立ち上がるのと同時にその人は
「あれ未希ちゃん、友達? もしかしてボーイフレンドとか!?」
と同時に言って僕の顔を見つめた。見つめ返すことしか出来ずに固まってしまう──。


その人──恐らく看護師さんはまだそうだと決まったわけではないのに「美希が私よりも早く……」と悔しそうに呟いた。

「違いますよ鈴さん!!」
美希が否定した──はっきりと。

鈴さんと言うらしい、その看護師は未希の担当らしく親しげに話していた。


「こちらは、私の幼馴染の進くんですっ」
「じゃあ邪魔しちゃ悪いね、またねー」

凄い身軽に移動して行った。

俺は沈黙にならないようにと未希に質問をした。


「……未希は外出許可とか下りるの?」
俺の急な質問に未希が目を丸くした。



「頼めば下りるかも……かな」
「今度、さ──……一緒に、どっか行こう」


「いいじゃん! いこいこ〜」
〝ナイスアイディア〟とばかりに未希が賛同した。


*

「それじゃあまたねー」
美希は病室のドアからチラっと顔を出して俺に手を振った。

【続く】

byてるてる522

Re: 僕と君との2年間。【オリキャラ&コメント募集中】 ( No.12 )
日時: 2017/01/13 18:20
名前: てるてる522 (ID: VNP3BWQA)
参照: http://www.kakiko.cc/mydesign/index.php?mode

──未希side

進とは、本当に小さい時からの幼馴染でずっとずっと一緒にいた仲だ。
いつも──お互いが隣にいるのが、当たり前だった日常……。そんな日常が突如終わりを迎えた……。

終わりを迎えるとともに私は病院へ行って……気がついたらベッドの上だった。
ずっとそこで過ごすようになり、病院内でも友達は出来ず……。

──早く抜けたい。
──こんなところに居たくない。

そう思っていても、叶う筈はなくて……──気がついたらすっかり「病院生活」というものが染み付いてしまっていた。


そして進がやってきた。

「ずっと美希がどこにいるのか知らなくてやっと知れた」と私の顔を見つめてそういう進はあの頃の面影が残っていてもちゃんと成長してるんだな……と思って。


何故か同い年のはずなのに、母親になった気分だった。

「向日葵はお母さんに持たされた」と少しだけ不満そうだったけれど、進はちゃんとそれを私にくれた──やっぱり進は優しい。

……そこが変わってなくて、そこが何よりも嬉しかった。



でも私は最低で、一つ貴方に嘘をつきました──。
「……外出許可とか出るの?」っていう質問……多分今の私には下りないと思う。


進が来てくれる以外、私が進と会う手段はないんだ。


──小さな小さな嘘。
嘘だと分かっているのは嘘をついた本人だけで、つかれた方は分かってない。
でもそれでも──その嘘が本当になることを強く強く願って嘘をついた方は今日も過ごしていく……。

【続く】

byてるてる522