コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.5 )
- 日時: 2015/09/23 17:15
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
#2 焼き上げのクッキーとチンピラ
焼き上げのクッキーがたんまりと入ったバスケットを揺らして、今日も町までお出掛けだ。
いつもは嫌がるお仕事に、最近は毎日のようにお花やらお菓子やらを作っては出掛けている。
毎日ラユに『今日は暇だし、お天気もいいから、お客様もいるはずよ!』だなんて言い訳してまでも町にでかけるのには、ちゃんとした理由があるのだ。
以前、チンピラにからまれたところを助けてくれた、赤茶色の髪に琥珀色の瞳をした『あの人』。チンピラはウルフっていっていたけど、本当かは分からないので、あの人ってよんでいる。
べ、別にその方がロマンチックだからなんて、全然これっぽっちも考えてないもんね!
話を戻すと、その人は助けてくれたあとに消えてしまって、お礼も言わせてくれなかった不器用な人で。そんなのって、なんか、ほら、ズルい!!
だから、お礼を言うために、毎日彼にいどんでいるのです。
「…うーん、シュガーって、相当素直じゃないよね」
思考停止。ラユは欠伸を噛み殺しながらわたしにそう語る。
「…っは?わたしが?素直だよ!素直すぎてヤバイくらいだから」
「うんうん、そういうところが素直じゃないよね。いつもみたいに元気そうで良かった。………あ、良いこと教えてあげよっか。シュガー?」
「どういうことって…なに?」
怪しげな色をひめたラユの瞳。子猫の口からなにが飛び出すのかと待ち構えーー
「『あの人』みっけー」
「…ええぇ!!どこっ、どーこっ!」
人混みの中にひとり、赤茶色の髪をした少年がみえた。
間違いない。あの人だ。
「いたっ!ラユ、走るよ」
「りょーかい、お姫さま」
走り出すと同時に子猫の軽い重みが肩にかかる。
人混みの中に消えてしまいそうな彼を必死においかけておいかけて。
「…ごめっなさい!!…通して!すいませんーーーわふっ!?」
衝撃。視界が、黒い壁でおおわれた。ーー否、チンピラだ。
「あァん?」
低く、ドスのきいた声が再びふりそそいだ。