コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.11 )
- 日時: 2015/09/28 20:57
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
#5 金色の魔女、銀色の魔女
「…はぁ」
深く、深くため息をつく。
今日の天気は雨で、わたしの心を写したようだった。
「そーんなに落ち込んで。ウルフに嫌われたのが、そんなに嫌だった?嫌われるのなら慣れたって言ってなかった?」
ラユが、しっぽをゆらゆらとふりながら、わたしに語りかけてくる。
「そう、なんだけど。助けくれた相手だもの。お礼がしたいなぁって近づいたら嫌われたって、ショックでしょ」
「確かに」
「…それに」
一言間をおく。
「…それに、ウルフも、皆と同じようにわたしを嫌うのかって、悲しくなったの。ーーわたしは、金色の髪だから。金色の魔女に、似てるから。
見た目で判断するなんて、変だよね。おかしいよね。わたしは、金色の魔女じゃないのに。魔法すらも、使えないのに」
そう。わたしは、世界を滅ぼした金色の魔女ーーレアリィに見た目がそっくりなのだ。
レアリィは、腰まである金色の髪に、淡いピンクの瞳をしていて。戦うときになると、その瞳は赤く、朱色に光り、人々を怖がらせたとか。
レアリィの最大の能力として、「クラヤミ」があげられる。
触れたものを全てを飲み干す闇。暗く、どす黒い闇の中に入れば、意識がなくなり、その人の存在はなくなる。
人々の記憶から、消え去る。その人は、最初からいなかったものとして世界が塗り替えられるのだ。
∞∞∞
#5、明日に続きます。
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.12 )
- 日時: 2015/09/30 20:54
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
#5 金色の魔女銀色の魔女
そんな金色の魔女、レアリィを倒したのは銀色の魔女。
銀色の美しい髪と、青空を映したような青の瞳。
見た目も心も美しい。そんな銀色の魔女の名はソフィア。
世界が金色の魔女によって暗闇に包まれた、絶望と悲しみしかない闇の世界。
そんな世界を、ただひとり。ソフィアだけは諦めなかった。
愛と勇気の、世界で一番強い魔法。
それには、怒りと増悪にまみれた金色の魔女は勝てなかった。
しかし、完全に滅びたのかと言われれば、それは違う。
愛と勇気の魔法ですら、金色の魔女、レアリィは殺せなかった。
銀色の魔女、ソフィアはレアリィをこの世界のどこかに封印し、そして死んだ。
金色の魔女はまだ生きている。そんな噂が世界をまことしやかに包んでいた。
銀色の魔女はというと、まだ一族で生き続けている。
一代に一人、銀色の髪をした子供があらわれる。その子供は『銀色の魔女』とかつての名で呼ばれ、人々に崇められる。
もちろん、そのこどもは才能も実力も満単で、優しく勇気のある大人に育っている。
「…シュガー」
ラユに名前をよばれる。振り向くととても不安そうな顔でわたしを見つめるラユの姿が見えた。
「どうしたの?」
「見た目が同じだからって、気にすることなんてないんだよ。だって、君は優しく、勇気があるじゃないか」
「ん、ありがと。そうでありたいなぁ」
その時、暖かいラユの言葉に泣きそうになったとかじゃないんだから。
涙がこぼれそうで、とっさに上をむいたとか、そんなの見間違いなんだから。
ラユが、大好きだなんて、再確認した、とか、嘘なんだから…!
さんざん心に嘘をつき、自分の心をなんとか保つ。
そうしないと、今にも涙があふれでそうだったから。