コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.17 )
日時: 2015/10/08 21:28
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

▲▽参照100突破記念▽▲

あかずきん


むかーし、むかし、あるところに、金色の髪に桃色の瞳を持った、それはそれは美しい娘がおりました。

娘の名前は、シュガーといいます。シュガーは、おばあさんにもらった赤ずきんをいつでもどこでも被っておりましたので、皆からは『赤ずきんちゃん』と呼ばれていました。

赤ずきんちゃんのおばあさんは、重い病気にかかっていました。
肉じゃがに異物混入でお腹をこわしてそれが原因でなんとかかんとか。。。

ある日、おばあさんからきたLINEに、

『赤ずきんよ、おばあはお前の焼いたクッキーと、高級な赤ワインが飲みたい。
きっと、赤ずきんが持ってきてくれたらおばあの病は良くなると思うのじゃ。よろしく頼むよ』

それはあきらかに仮病のようでしたが、アホ……じゃなくて、心優しい赤ずきんちゃんは、おばあさんの家にクッキーと赤ワインとお花を持ってでかけました。


とことこ、と森の中を歩く赤ずきんちゃんは、ただ歩くだけなのは嫌だったので、小鳥たちと歌ったり、お花で冠を作ったりしておばあさんの家まで歩きました。

すると、なんてことでしょう。

赤ずきんちゃんが気がつくと、そこは知らない風景がひろがっていました。
赤ずきんちゃんは基本的にアホ……じゃなくて、天然なのです。

どうやって帰るのかも分からず、赤ずきんちゃんは花畑に座り込み、

「うわーん、うわーん、どうしよぅう!!」

と泣き出してしまいました。

そんな赤ずきんを見守る影がありました。ーー狼です。
狼は、赤ずきんちゃんを食べるつもりでした。
しかし、いよいよ食べようと思ったとき、赤ずきんちゃんが声をあげて泣き出してしまい、どうしようかとオロオロしていました。

基本的に狼はおせっかい……じゃなくて、面倒見がいいのです。

困ったあげく、狼は赤ずきんに声をかけました。

「うわーん、うわーん、おばあさまが死んじゃうよお!クッキーあげないと、死んじゃうよお!」

「大丈夫、オレが案内してやるよ」

狼が赤ずきんに声をかけると、赤ずきんちゃんはその赤く腫れた目で狼を見上げ、ぱぁっと顔を明るくしました。

「本当!?」

「ああ」

赤ずきんちゃんは、ばんざーいと手をあげました。狼は呑気な奴だなぁと思いながらも、約束通りおばあさんの家まで赤ずきんちゃんを連れていってあげました。

家からは、小さな子猫、ラユおばあさんが顔をだしました。

「赤ずきん…!悪かったのぅ、おばあがクッキーをを食べたいばっかりに…」

「ううん、いいのよ、おばあさま。それより、狼さんが助けてくれたのよ」

「おお、そうかいそうかい。うちの赤ずきんが、どうもありがとうございました。」

狼はお礼なんて全然きいていませんでした。
赤ずきんちゃんを食べ損ねたせいで、さっきからお腹がきゅるるる、と鳴っているのです。

もう、二人とも食べてしまおう。そう考えて、大きく口をあけた、そのとき。

「…あら、狼じゃない」

奥から顔を覗かせたのは、魔女のリリーでした。
実は、狼はなぜかこのの魔女だけには弱いのです。

「あ、リリーさん。いたんだ!」

「シュガーね?久しぶり。背、伸びたかしら?
ーーあぁ、それより。クッキーをやいているの。狼も、シュガーも、手を洗ってきて。お茶にしましょ」

「もう、リリーさん!わたしは赤ずきんって呼んでって言ってるじゃない」

ぷんぷんと怒りながら、赤ずきんちゃんは手を洗いにいきました。
狼だけが取り残されました。

「魔女には、かなわねぇわ」

確信した思いを口にして、狼はそっと笑いました。

それから食べたクッキーの味は、
優しくて、甘くて、ハチミツの味がほんのりとする、ハニークッキーでした。

狼は、それ以来、人を食べることはなくなりました。

▽▲▽▲▽▲

改めまして、参照100ありがとうございましたー!