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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.29 )
- 日時: 2015/10/22 20:23
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
#12 死んだ姉の姿
「…ウルフ。おねえちゃん、悲しかった」
「…ぇ?」
懐かしい声がして、後ろを振り向くと、そこには姉の姿があった。
長く美しい金色の髪を風に揺らし、リリーは寂しげな瞳でこちらを見つめる。
「…ねえちゃん?」
「ええ。おねえちゃんよ」
「どうして、ここに。いや、そのまえに、死んだはずじゃ…なかったの?」
「ええ、死んだわ。あなたのせいでね」
「…っ!?」
鋭く、リリーの言葉がウルフの心に突き刺さった。
「ウルフは、なぁんにもしてくれなかったわ。おねえちゃんが倒れても、なぁんにも悲しくなかったのよね」
「は…。んなわけ、ねぇ…」
「じゃあ、どうして。ーーどうして、復讐してくれないの?おねえちゃん、ウルフにオオカミの力をあげてまでして死んだのに、全然使ってくれないじゃない」
「ちがっ!それは、ねえちゃんを汚すみたいで嫌だから…!」
「嘘よ。そんなの、自分を守るためのまやかしだわ。いくらおねえちゃんみたいに剣をふったって、いくらおねえちゃんと同じオオカミになったって、それを使わなきゃ、意味がないんだよ?」
「……!!!オレは、ただ…!」
「ただ、何?…ああ、そうか。ウルフは、ショックでおねえちゃんが死んだあとのことを覚えてないんだよね」
事実、だ。
実際、覚えてないし、そもそも気づいたらオオカミの姿で倒れていたから、この力はリリーのものだろう、と自分で判断していただけ。
「なら、思い出させてあげる。教えてあげる。あの日のことと、おねえちゃんの、秘密」
そう言い、リリーはウルフへ歩みより、呆然とするウルフの頬を持って額をウルフの額に合わせた。
頭の中に、記憶が流れ込んでくる。
ガンガン、ガンガン、とまた、頭のなかで鐘が鳴り響くのがきこえた。
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