コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.31 )
日時: 2015/10/24 21:15
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

#13 リリー・イリマール

豪華なドレスの裾をゆらして、長い廊下を歩く。
あたりは静かで、まだまだ寝ている人は多いであろう、この時間。

わたし、リリーは何をしに来ているのかって?

実は、双子のお姉さま、ララ姉様と、ルル姉様に呼び出しをされていいるのだ。誰が?実の妹のわたしが。

「わたし、なんかしたっけなぁ…」

そんなことを呟くと、目的地についた。
二回の、姉様達のお部屋だ。

コンコン、とノックをすると、

「あら、姉様きましたわよ、リリーが」

「あら、ホントだわね、ルル。入りなさい、リリー」

「はい、ありがとうございます、姉様」

なんでいちいちお礼を言わなければならないのか。
未だに分からない。同じ、兄弟なのに。

「おはよう、リリー。今日も汚いお顔だわね」

皮肉たっぷりに双子の妹の方のルル姉様が言った。
ララ姉様も、扇子で口元を隠して笑っている。

「…どうも、ルル姉様。ルル姉様は今日も綺麗で可憐です」

「あーら、ありがとう。ところでリリー。どうして呼ばれたのかは分かってるわよね?」

いや、知らねーよ。
そう言いたい気持ちをぐっと堪え、笑顔をたもつ。

「申し訳ありません、ルル姉様。わたしの理解がおそいので、教えていただけると幸いです」

「ふふん、しょうがないわね、このララ様が説明してあげるわ」

いや、しょうがないって何よ。
様つげとか、何様って感じ。

「せっかく姉様があんたみたいなクソのために説明するんだから、心してききなさいね」

あんたにも、同意見だよ。

「あなた、父上の大事な壺を割ったでしょう?」

「…はあ、あの、見覚えないんですが…」

「はっ、何なの?ララ姉様に逆らうつもり?やったことは素直に認めなさい」

「いや、わたし…」

割ってなんか、と言葉をつづけれなかったのは、ララに胸ぐらをつかまれたからだ。

「わたしたちがこう言ってるんだから、リリー、あなたは壺を割っているのよ。わたしたちの意見に反感するなんて、リリーの分際でありえないわ。この、けがわらしい魔女め」

そう吐き捨てるように言うと、ララ姉様はわたしを突き飛ばした。

「行きましょ、ルル。朝食の時間よ」

「ええ、姉様」

二人はならんで部屋をでて、大広間へと向かった。
わたしがいたこの部屋の鍵を閉めて。

「…ぅ、う」

静かなへやで一人。鳴き声が響く。

どうして、わたしだけ。

いつもそう考えるけど、理由なんてわかってた。
この髪と、瞳がいけないんだ。

悪いのは、ララ姉様で、ルル姉様で、母上で、父上で、この髪で、瞳で、自分で、リリーだ。

がーんごーん。

あたりに八時を知らせる鐘がなる。
その音は、わたしにとって耳障りな音に聞こえてならなかった。