コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.35 )
- 日時: 2015/10/29 21:09
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
#16 恋の恨み
「は、刑にくだすって…。わたしを?ハスを?」
今まで沈黙をまもっていたリリーも、驚きをかくせない。
その口調が、今までのものと違っていることに本人は気づく様子はない。
ララはあわてふためくリリーをみて怪しげな笑みを浮かべた。
「そうよ。リリー、あなたは完全に姫としての資格を剥奪するわ。まぁ、元々『存在しない姫』だったんだし、そんなに辛くないかもしれないわね。で、ハリス王子。あなたにはーー。死んでもらうわ」
「……ーー!?な、何を言っているの!?この方は王子よ!?」
「そう。この人は王子。でも、その小さい脳ミソで考えてごらんなさい、リリー。ここは、イリマール国よ。そして、わたしはここの王女。そんなわたしをふった罪は大きいと思わないのかしら?」
絶句する。ここまで、姉が酷い人だったなんて。
「彼の国は、貧乏だし、結婚しなくて良かったかもしれないわね。それに、ハリス王子がここにいる限り、法律はこのイリマール国のほうを守っていただくことになっているはずよ」
「そんなの…、あんまりだわ!!」
耐えかねて大きな声をだしてしまった。
驚きで目を丸くするララを睨み付け、早口でまくしたてる。
「自分の恋愛がうまくいかなかったら、その人を攻めるの?どうしてわたしを好きにならないんだって言って、その人の命を奪ってしまうの?その人にはその人の恋愛がある。自分の気持ちは、縛れないのに!!」
「リリー、あなた、誰に向かって話しているの?あぁ、もういいわ。あなたも殺されたいみたいね」
「あなたこそ、誰に向かって話しているのよ!?わたしは、あなたの妹よ!?どうして姉のあなたに敬語を使わなければならないの!?わたしは、あなたが姉で、恥ずかしいわ!!!」
「あなた黙って聞いていれば…!!」
ララがリリーの腕をつかもうとする。
今までは、されるがままだった。でも、もういやだ。
ハスにあって、愛を教えてもらって、勇気をもらった。
だから、もう俯かない。
「いやっっ!!!」
腕をふりはらい、ハスの手をとってかけだした。
もうきっと、ここには戻れないだろう。
それはきっと、家をなくしたといっていいことなのに、リリーの心はこれまでにないほどの喜びをたたえていた。
「ハス!行こう、どこか遠くへ!!」
「あぁ、どこまでもついていくよ。僕は君の永遠の騎士だ!」
日が傾いて、茜色に染まる時刻。
ーー魔女と王子は、悪人になった。