コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.36 )
日時: 2015/10/30 21:06
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

▽▲参照300突破記念 Halloween企画▽▲ 前編

迷子とハロウィンとシュガー

えっと、こんにちは!シュガーです。
ん、と今日はなんか、カボチャの日らしいの。

ーーえ?違う?

ごほん、ハロウィンらしいの!!

ハロウィンは、お化けとかに仮装して、トリックオアトリートって言って、お菓子をもらうんだって!
うんうん、めっちゃ楽しそう…!
好奇心に勝てないわたしは、ウルフに無理いって、町まで連れてきてもらってるんだ〜。

「それにしても、すっごい人〜」

「確かに。みんな仮装してるから目がちかちかする」

ウルフはそう言うと、目をくしくしと擦った。

「ホント、こんなとこにいたら、すぐ迷子になりそう」

「それだけは勘弁な。オレ、楽しいハロウィンに迷子探しとか、嫌だから」

「わかってるって、もー」

両手に持ったチョコレートやらクッキーやらを抱え直し、自信満々の顔をむけると、ウルフは心配そうにため息をついた。

泣き声がきこえたのは、その直後のこと。

「うわあぁん、まぁあまぁぁ!!」

女の子が、地べたに座り込み、大声で泣いていた。

ぱっつん前髪に、肩で揃えた桃色の髪。
瞳の色はスカイブルーとオレンジのオッドアイだ。
女の子は、その可愛らしい顔を悲しみの色に染め、わんわんと泣いていた。

しかし、その場を通り行く人々は女の子に気づく様子はなく、お母さんが来るようすもない。

つまり、完全なる迷子だ。

「ねぇ、ウルフ。迷子がいるよ」

わたしは女の子を指差した。
するとウルフはあからさまに嫌そうな顔をした。

「あ?めんどくせー。ほおっとけば誰かくるさ」

「…むう。ウルフ、ひどい人。…あの子は今、ひとりで、泣いてて、かわいそう。だから、助けないと。違う?」

全然説明できてない。けど、それでも、ウルフが間違ったことをいってるのは分かるから、それを教えてあげるのだ。

「オレ、迷子探し、いやなんだけど…」

それでも分からない分からず屋に、わたしはむうぅと顔を膨らませ、

「じゃあ、もう、いいもん!わたしひとりであの子を助けるから」

「あ、おい!シュガー!?」

ウルフの叫んだ言葉を完全無視して、その子へと駆け寄る。
その子は鼻水をすすりながら、こちらをむいた。

「ねぇ、あなた、お母さんは?」

優しく、目線をさげて言ってあげる。
その子は、今にも泣きそうな震えた声で、

「ま、まま、いなくなっちゃった。スズを、お、おいて、いっちゃった…。いなくなって、いっちゃって、いっ、いっちゃったのおおぉ…!!!」

震えた声からとうとう泣き叫ぶ声に変わる。
さっきと同じようにわんわん泣く…スズ…ちゃん?に、おろおろするこことしかできない。

「ほーら、泣かないの。だいじょーぶ、おねえちゃんが探してあげる。」

「ほんとに…?スズのまま、探してくれる?」

「うん!おねえちゃん、嘘はつかないから!」

胸をはってそう言うと、スズちゃんはおずおずと小指をさしだした。
わたしは、その小さくて暖かい小指に自分の小指をからませる。

そして、それを上下に揺らしながら、

「ゆーびきーりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます」

「「ゆーびきった」」

スズちゃんは、笑いをはじけさした。

その顔をみてほっとするが、問題はここから。
ウルフと喧嘩もしたし、その前にスズちゃんのお母さんを見つけないと。

「さて、と。ハロウィンの夜は、大変だなぁ…!」

◆◆◆
というわけで、参照300突破!ありがとうございます。
今回の物語はシュガーとスズちゃんのお母さん探しの旅ですね。
前編、後編にわけておりますので、後半もお楽しみに。

Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.37 )
日時: 2015/11/06 20:40
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

お久しぶりですー!しばらく来れずにすいません;;
漢検があって、れっつすたでいしてました。またまたテストが近いので来れる日が少なくなるかもしれませんが、許してください;;
では、ハロウィンの続きから。

◆◆◆

「とはいっても、見つからないなぁ」

スズちゃんと『まま』を探して早三十分。二人は良い感じに迷っていた。

「ウルフとも、もう完全にはぐれちゃったよなぁ」

まわりを見渡しても、ウルフの姿はみえない。
ちょっとだけ不安だけど、人助けに手伝ってくれなかったウルフが悪い。だから、わたしは悪くないもん。

そんな風に自分を納得させながら、『わたしのこと探してたらどうしよう…』と心配しまう辺り、本音のところでは悪いと思っているわけだけど。

「おねえちゃん、まま、どこー?ぜんぜんいないよお。おねえちゃん、みつけてくれるってゆったのにー。もー。おきてるう?」

わたしに心を開いてくれたスズちゃんは、繋いだ手をぶんぶん振り回してこちらを見つめる。
うんうん、心を開いてくれてよかったよかった。……ーー生意気じゃね?

「こらー。おねえちゃん、もー。きいてるう?スズ、はなしてるのにー。きかなきゃ、めーだよ」

「あ、あのね、スズちゃん?わたし、年上。しかも、あなたを助けてあげてる恩人なの。もう少し、口の聞き方っていうのがあるんじゃないかな?じゃないかな!?」

「んー。なぁに。よく分かんないもーん。あ、おねえちゃんなまえなんてゆーの?きいてなかったよお」

「だから、口の聞き方を変えてよ…。名前?わたしはシュガー。そういえば言ってなかったかもね」

「そっかー。シュガーね、おけーだよお」

「あぁ、もうダメだこの子」

変わらない生意気な態度にがっくりと肩を落とし、その衝撃で落ちてしまいそうになる黒いフードを深くかぶり直した。
と、それをみていたスズちゃんはそれをいぶかしげにみて、

「シュガー、なんでそんなのかぶってるのお?きょー、はろういんなのに、もったいないなあ」

「ん、秘密」

人差し指を口に当てて笑うと、スズちゃん納得しない、とでもいいたげな目でわたしを見つめた。

招待をあかすわけにはいかない。
わたしの容姿は金色の魔女そのものだ。だから、わたしをみれば皆こわがってしまう。
いつもローブをきて出掛けるのは、そうラユから教わったからだ。

「ーースズ?」

騒がしい祭りのなか、そう声がきこえた。
その声には誰かを心配し、確かめるような色が強い。つまり、

「…まま!!!」

スズちゃんは、わたしの手を離すと、お母さんのもとへとかけよった。
親子は抱き合い、安心したような顔になった。

「あぁ、よかったわ、スズ。急にいなくなったんだから」

「ごめんなさい、まま。ーーあのねー、シュガーがたすけてくれたのー!」

「シュガー?誰のこと、スズ」

「あのひとだよー」

スズちゃんはそう言うと、わたしを思いっきり指差した。驚きながらも、小さく手をふってやると、スズちゃんままがこっちに来た。

そして、わたしの前までくると、頭をさげ、

「娘を、ありがとうございました。助かりました」

と言った。そんなことをされるのは初めてで、驚いてぶんぶんと首をふった。

「いえいえ、どういたしまして。わたしも、楽しかったですから」

「そう言っていただけると救われますね。あ、そうだ。これ、どうぞ」

スズちゃんままがさしだしたのは、星形のグミだった。透明の袋は赤色のリボンで結ばれ、グミは赤、黄色、青、と色がさまざまできれいだ。
それが、何故かふたつも。

「もらってください。それ、大切な人と食べたら願いが叶うんですよ」

「え?それってーー」

「ままー、かえろー」

「ふふ、すみません。では、私たちはこれで。よいハロウィンを」

そういい、スズにゃんままはぺこりとお辞儀をしてその場をさった。

「………」

ひとりになってしまった。
もう、夜おそく、人も少なくなり始めている。

「帰らなきゃ」

そういい、顔をあげて足をふみだそうとした、そのとき。

「あっ」

もらったお菓子が、ひょいっと誰かにとられた。
のびてきた手の持ち主のほうをみて、驚き。

「ーーウルフ」

「これ、貰ったんだな。よかったじゃん」

「そ、んなことより、さ。言うことあるでしょ、わたしに」

張り詰める空気。沈黙の時間が数秒続き、

「…………ごめん」

ウルフは、静かに、あやまった。だから、わたしも。

「ふふっ。許してあげる」

そう言った後のウルフの顔が緩むのをみて、また笑みがこぼれた。ウルフも、心配してくれたんだなぁ。

「あ、それ、ひとつあげるね。願いが叶うんだって」

「へえ。じゃあ、今から食おうぜ。腹へった」

「ん、そうしよ」

リボンをほどき、赤色をしたグミを二人同時にほうりこむ。甘い、イチゴの味がした。

そのとき、ウルフが何を願ったのかは分からない。
わたしも、これだけは秘密。

甘くておいしいグミの味に、頬に手を当てて感激していると、ウルフがわたしの髪に手を伸ばし、何やらごそごそとしている。

「ーーはい、できた」

髪にふれると、違和感。ーーリボンだ。グミについていた、赤色のリボン。
本当に本当に嬉しくて、最高の笑顔でウルフをみつめた。
すると、ウルフはにやっと笑い、

「ハッピーハロウィン」

とわたしの耳元でささやいた。
少しだけドキっとしてしまったのは、秘密のはなし。

◆◆◆
つ、か、れ、た!!!
2000字越えましたよ!長かったー。
もう文章おかしくても知りません((

それじゃあ、みなさん。遅くなりましたが、Happy Halloween!!