コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.47 )
日時: 2015/11/15 15:59
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

#21 王都 ルジェルダを目指して

「シュガー、準備できた?早くしないと。ウルフ待ってるよ?」

「えっ、ちょ、はぁ〜い。もう少し!」

シュガーは金色の髪でせっせと密編みをつくっていた。
焦れば焦るほど、髪の形はくずれていく。

「あー、もういいや!」

思い通りになってくれない髪をそのままに、黒いローブとまとめた荷物をもって、ドアをあける。

ふと、棚の上においている写真が目に入った。
笑い合う、幼いシュガーとキャラメル色の髪をもった優しそうな母親の笑顔。
シュガーの宝物だった。

「…行ってくるね、お母様」

写真を手のひらで、なぞり、止めていた足を動かしてシュガーは部屋をあとにした。

◇◇◇

「ーーごめんね、ウルフ!」

ぱたぱた、とそんな効果音でシュガーはウルフに駆け寄った。

「はあ、まぁこんなるんじゃないかとは思ってたけどな。早く乗れよ」

ウルフが指を指したのは、馬車だった。
王都まで、どうやらこれに乗るらしい。

「ぉいしょ、っと。ウルフ、運転できるの?」

駆け寄るラユを肩の上にのせ、ウルフに問いかける。

「まあ、一応?」

「ふうーん。まあ、いいや。わたしこれからサンドイッチ食べるね」

「他人任せだな、おい」

鼻唄を歌いながら、持ってきていたサンドイッチを布からあけるシュガーをみて、ウルフはため息をつき、馬に合図をだした。

「…ん、はぐっ!んーおいひい」

もぐもぐとサンドイッチを食べながら、シュガーは違和感に気付いた。

「…っ!ん、ごくん、ね、これ空飛んでない!?」

窓から見える景色は青空で、とてもではないが地面を走っているとは思えない。

「そうだよ。シュガーは初めてだっけ?これは空馬車といってね、空を走るお馬さんなんだよー」

くしくしと顔を洗いながらマイペースに話すラユ。
意外と普通にあるのかもしれない。

「でも、翼もないのに飛べるものなんだね」

「ん、翼はあるよ?ほら」

窓をのぞきこむと、ラユの言う通り、馬は翼をもっていた。
でも、乗り込む前は翼なんてーー。

「空馬はね、空を飛ぶときだけ翼をだすんだ。便利でしょ」

そう言うラユは、なぜか誇らしげに胸をはる。

「うん、すごいね」

そう呟くように言ったあと、最後のサンドイッチを口のなかにほおり投げた。
シャクシャク、と軽やかにレタスの音がきこえた。