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Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.51 )
日時: 2015/11/18 22:27
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

#22 ウルフの憂鬱

「…い、おい、シュガーってば」

誰かに揺り起こされる感覚を感じて、シュガーは目を開けた。

「…ん、あれ。寝ちゃってた…?」

まだふわふわ夢と現実をただよっているシュガーをみて、呆れたようにこちらをみる少年ーーウルフだ。

「空馬を走らせて30分くらいでもう、寝てたぜ。んで、今はルジェルダについてお昼過ぎ。ーー爆睡だな」

「うっ…。ごめんって。それより、これからどうするの?」

「…無理矢理話題変えられたけど、まあ見逃そう。ーーとりあえず、試験は明日だし、観光でもするか」

「おー、賛成!ラユはどう思う?」

シュガーが呼び掛けると、子猫は肩から言葉をなげかける。

「二人がそうしたいなら、それでいいんじゃない?」

「ーーってことなので、そうしよっか!」

らんらんと瞳を輝かせるシュガーをみて、ウルフもめずらしく笑顔で応じた。

◇◇◇

そして時は、それから二時間ほど進む。

「あーあ。もう、ここどこなの…」

ため息まじりにそう呟くシュガーの態度に、ウルフは明らかにイラついていた。

「…あのなぁ、お前のせいでこんなことになってんだぞ?少しは反省したらどうなんだ」

「反省なら、してるよ?でも、反省したところで状況は変わらない。変わらない状況にたいして、愚痴を言ったわけです」

緊迫した空気の中、ぷりぷり怒るシュガーと、どうやって帰るかを真剣に考えているウルフ。

原因はシュガーにある。

初めて見る物や屋台に見とれてふらふらとするシュガーを慌てて追いかけていたら見知らぬ通りにでてしまったのだから。

にもかかわらず、当の本人は全く罪の意識を感じていない。
ウルフがイライラしてしまうのも、仕方ないことだった。

「ーーねえ、ウルフ、あれ」

シュガーがウルフを呼ぶ。
怒っているウルフは知らんぷりだ。

その態度にはさすがのシュガーも頬をふくらませ、

「ねーぇ!!ウルフ、あれ!見て!!」

耳元でどなられた。「うわぁっ」と声をあげたあと、少女を叱ろうと睨み付けるが、さらにどなられかねないのでやめておいた。

「んなんだよ!こっちは考えてんだから、しず…か、に」

シュガーが指を指した先には、ドアがあった。
ずっと続いていると思っていた道は、いきどまりだったのだ。

それを理解したあと、どっと疲れがおしよせる。
また、戻らないといけない。

そんな考えを否定したのは、まぎれもないシュガーだった。



「あのドアの向こう、いってみない?」