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Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.52 )
日時: 2015/11/20 22:49
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

#23 銀色の少女

「はぁ?何いってんだ。人の家だったらどうするんだよ」

「だからだよ!人に道をきけばいいの」

そう言ってにこりと笑ったあと、くるりときびすを返すシュガー。
これは、ヤバイ。そう思い手をのばすがーー時すでに遅し。

「こんにちはぁ…」

音もなく扉を開け、か細い声をだすシュガーをみて、ウルフは頭を抱え込む。
どうしてコイツはこんなに身勝手なのだ、と不満をつもらせながら、しょうがなくドアに目をむける。

中は、テーブルとキッチン、ベッド、とシンプルな構造だ。
色も比較的シンプルな白だが、所々ピンクが混じっており、可愛らしい女の子の部屋、といったイメージだ。

そしてその部屋には、椅子に座って紅茶を飲みながら読書をする少女の姿があった。

「…誰」

一言だけ、ぽつりと呟かれたその言葉には、警戒の色が強かった。

「えっと、ごめんなさい。わたしたち、道に迷っちゃって」

慌ててシュガーが説明をしても、少女の瞳には警戒心、の一言しか浮かんでいない。

「…そんな、嘘。ついたってばれる。本当の目的は何」

「ーーえっと…?」

とまどうシュガーをみて、その少女は立ち上がる。
こちらをめがけてつかつかと歩んでくる少女の姿は、美しく可憐だ。

少女は、銀色の髪をもっていた。
光に反射して輝くその髪は、背中にながして朱色のリボンで飾っている。
ライトブルーの瞳を持ち、その顔立ちは凛々しく可愛いというよりも美しい。
着ている服は白を基調とした清楚なワンピースで、胸元で揺れる、髪につけたリボンと同じ色の朱色のリボンが印象的だった。

「ーーー敵?」

小さく、聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた言葉。
それをきいたウルフは警戒心が漠然とあがる。
シュガーは、戦えない。自分の身が守れない。

ウルフが体を動かし始めるより、少女の右手がのびる方が早い。


「ーーマセクト」

「ーーッ!!?」

直後、少女の右手からすさまじい衝撃波が生まれる。
光と共に、シュガーとウルフの体を叩きつけーー。

「…ぁ、れ?痛くない…?」

その被害は、本来シュガーとウルフの二人だけだったときの話だ。
シュガーの肩から短い腕をのばして、手のひらから青色の魔法陣をだす子猫、ラユ。

「初対面でいきなり攻撃するなんてね。よっぽど人間不信なのかなぁ」

場に会わない笑顔をむけ、その目から鋭い殺気をはなつ子猫。
にこにこ笑いながら、少女と自分の差を、示したのだった。