コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.54 )
- 日時: 2015/11/23 10:52
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
#24 リア
ラユの行動をみて、少女は唖然とした。
そして、「ほぅ …」と吐息をもらし、
「ーー分かった。何が望み?」
そう、座り込むシュガーに手を差しのべたのだった。
◇◇◇
「本当に道に迷っただけだったんですね」
少女は過去の自分を振り返り、少し顔を赤くした。
こうしてみると、可愛らしいのだが。
「ん、そう。ルジェルダのとこの大きいパン屋さんのところまで教えてくれるとありがたいんだけど…」
シュガーが申し訳なさそうに微笑むと、少女も微笑み返す。
「ええ、構いません。では、行きましょうか」
立ち上がる少女につれ、シュガーとウルフも立ち上がる。
そして、ドアに向かうつもりだったのだが、
「手を繋いでください。お嬢さんと、少年さんもですよ」
シュガー、ウルフ、ラユが一斉に?を浮かべるのをみて、少女は笑い、
「空間転移です。ここから行くのには、少々時間がかかりますから」
「すごーい。さっきの魔法といい、もしかしてすごい人?」
きらきらと尊敬の眼差しで少女を見つめているシュガーに、少女は困ったような笑みを浮かべる。
「そんなことは。少しばかり、家系に恵まれておりまして」
まだ「じゃあね、じゃあねっ」と質問を考えるシュガーをウルフがなだめ、少女に向き直ると、
「悪いが、時間がそろそろないんだ。コイツは無視してやってくれ」
「ふふ、はい。じゃあ、もうやりますね『ワープ』」
少女が長い睫毛をふせて、そう言うと、ぐにゃり、と空間がねじれる感覚がした。
だんだんと景色が変わっていき、辺りは見覚えのあるパン屋の前へと姿を変えていく。
そしてシュガーは、大事なことをきくのを思い出した。
「最後に、一つだけ…!あなたの、お名前はっ?」
吐き気がするのをこらえながら、消えそうになる少女に問いかける。
ぐにゃりぐにゃりと歪む空間の中、少女が驚いた顔をするのが分かった。
「ーーーリア」
そう、微かに声がするのが聞こえた。
そして意識はそのままーー。
◇◇◇
誰もいなくなった部屋に一人、銀色の少女、リアは驚きを隠せず立ちすくんでいた。
「今の子、『金色の魔女』…?」
その小さい呟きは、誰にもきこえることはなく、空気となって消えた。
◇◇◇
「ーーわあっ」
「ぅおっ!?」
どすんっ、と二人そろって尻餅。
「いたたた。…無事に、戻れた?」
回りを見渡せば、そこは見覚えのあるパン屋の前だということがわかる。
「リアさん、か。いい人だったね。ね、ウルフ!」
「あ?あぁ。リアさんっていうのか?オレはきいてなかったけど」
「もー」
和やかな時間がすごせるのもここまで。
何と言っても、明日は『試験』なのだからーー。