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Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.67 )
日時: 2015/12/09 21:04
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

#31 心の差

「…っ、けほっ、っは」

ウルフにしめられていた首をさすりながら、涙目で子猫を見つめた。

「契約で、殺し合うことはできないっていったでしょ?このままだと死んでしまうーーそんなときには、ボクが現れるようにプログラムされてあったんだよ。
実際に殺し合いをしてしまうとは、思わなかったけどね?
ーーそれで?どうしてウルフはシュガーを殺そうとしたのかな?」

ラユは穏やかに怒りを秘めらせる瞳をウルフに向けた。
ウルフはそれを感じとり、眉間にしわをよせて怒りを露にする。

「コイツが、黙らねえからだよ!!」

「元々をいえば、ウルフが悪いんだからね!?」

にらみ合いを続ける二人を交互に見つめた後、ラユは仕方なし、とばかりにため息をついて、

「……!ラユ?」

そう、シュガーが怯えながらラユを見つめている。
シュガーが怯える理由、それはラユから放たれる冷気だ。
ラユから冷気がただよい、ラユの浮かぶ地面は音をたてて凍り始めている。

ノンスリーブのワンピースを着るシュガーには寒すぎる気温だ。

「ーーねえ、二人とも。ちょっとは、良い子にして欲しいなぁ。ボクも、手加減がきかなくなっちゃう」

「わか、分かったよ…」

脅迫じみた言葉に、熱をおびていた言葉の勢いが急速にさめていく。
それを感じ取ったのか、ラユは冷気をだすのをやめた。

「取り合えず、今日はもう部屋に帰ろう。落ち着いて一晩考えて、それでまた明日試験にチャレンジしよう」

ラユの提案に二人も頷き、そのまま解散となった。

二人の間には、試験を始める前とは変わり、心の差が広まっていった。
ラユの心配事は的中。

その夜、シュガーは枕を濡らし、ウルフは寝付けない夜を過ごすことになった。