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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.70 )
- 日時: 2015/12/16 22:07
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
#33 偽ウルフ
どうしよう、どうしよう。
それだけが、シュガーの脳内を支配していた。
ラユもいないし、ウルフもいない。
魔法も使えない自分だから、力で勝つしかないのだが…。
何しろ、こんなに急に力が必要になるなんて思ってもみなかったから。
「わたし、だけじゃ…」
「ん?どうかしたか?」
皿を持ちながら、顔だけをこちらにむけてみせる偽ウルフに手と顔をぶんぶんとふる。
「う、ううんっ !なんでもないの、ホントに!」
「…?変なやつ」
ははっ、と笑うウルフの姿はいつもと変わらない。
でも、どこかが、決定的に違うのだ。それが、分からない。
「……ぁ…」
鼻歌まじりに皿を並べるウルフを見つめて、シュガーはそれに気づいた。
ウルフを取り巻く、空気。
いってはなんだが、いつものウルフはもっと張り詰めていてピリピリとしたものだ。
そんな真面目な彼だからこそ、自分の不本意な笑みに対して怒りを感じたのだから。
だが、この偽ウルフはどうだろう。
ため息ひとつもつかずに、しかも鼻歌つきで!ルンルン気分で朝御飯の支度をしている。
「あなたーー誰なの…?」
偽ウルフの鼻歌がとぎれ、皿を並べる手をとめた。
偽ウルフはゆっくりとこちらを向いた。
その瞳はウルフの琥珀色の瞳ではなく、バラのような紅色の瞳だったーー。
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