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Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.74 )
日時: 2015/12/31 14:54
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

36#『心』の試験 受験者ウルフ

二人、シュガーとウルフは大きな扉を前にして立っていた。

「ーー」

「ーー」

お互い沈黙が続く。
シュガーに関しては言葉にせずともウルフをチラチラ見ていることから、心配していることがわかったが。
今のウルフには、それが煩わしかった。
頭をかきむしり、試験の扉に歩み寄る。
シュガーが「あ」と声をあげると同時に、その重い扉を開いた。


◇◇◇◇

「あっれあれ〜?ウルフじゃん?あは、また試験しにきたの?」

白い空間の中、椅子にこしかけて面白そうにこちらを伺う少女。フーラだ。

「戯言はいいから、早く試験を受けさせろ」

ウルフの手がフーラの白い手にのびるが、フーラはそれを上手くかわした。

「やだなあ、ウルフ。ちっとも変わってないじゃん?それじゃあ、何度やっても同じだよ?」

手をひらひらとあおって失望したような様子のフーラに、ウルフは怒りをかくせない。

「うるせぇよ!オレにーーオレに、試験を受けさせろォっ」

「あはっ!やだ。あたい、アンタがかわいそーで仕方ないよ。アンタは前、何をみたんだっけぇーえ?」

「……!」

「お姉さまが死んだときのあのシーンでしょ?それで、お姉さまにーーリリー様に復讐してえって頼まれたんだよね?」

「だまれ…!!」

ウルフはいたいところをつかれたのか、きつくきつく拳を握りしめる。
血が滲むほどに。

「えー。いやだなぁ。『復讐。復讐して…。そうすれば、わたしのーーお姉ちゃんの魂は救われる。お願い、ね?』」

声色を変えて姉、リリーを演じるフーラはけらけらと笑う。
それは、どう考えても姉の死を侮辱しているようにしか考えられなかった。

「あぁあっ!!黙れえぇ!!!」

いかりに震えるウルフの拳が、フーラの頬めがけてはしる。
しかしフーラはまたしてもそれをよけ、さらにそののびた腕をつかみ、ウルフを睨み付けた。

「ふざけるんじゃない。リリー様が、本当にそんな事を言うとでも思う?あたいは、お前を、ウルフを見損なったよ」

「何をーー」

言っているのか、と罵ってやろうとしてそれは叶わなかった。
白い世界が展開されて、試験が始まる。

第二回、『心』試験。受験者ーーウルフ。