コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.75 )
- 日時: 2016/01/02 14:57
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
37#『心』の試験 受験者ウルフpart2
白い光が目の前いっぱいに広がり、視界の邪魔をする。
ウルフはその光を腕でさけながら、必死に目を開いていた。
「ーーぁ」
光が弱まり、視界が晴れるとそこには見慣れた景色があった。
「オレの、家?」
ウルフはベッドの上で呆然としている所だ。
状況を整理すべく、辺りを見回すと
「あら、ウルフ?起きたのね?」
懐かしい声がして、そちらを向くと
「姉、ちゃん?」
金色の髪と桃色の優しげな瞳。
その瞳を細めて首を傾げる愛らしい少女、リリーがいた。
幻だと分かっていても、ウルフの胸は幸福で弾んだ。
「うん?どうしたの?ほら、紅茶、はいったけど?」
そういうとリリーは手に持ったカップを傾けて紅茶を飲んだ。
その姿は幻とは思えないほど繊細で、抱きついてしまいたくなる。
「ーーあぁ、飲む」
その衝動を押し殺し、短く答えてリリーの元へと歩み寄る。
おもむろに椅子にこしかけてカップに手をつける。と、
「で、復讐は上手くいってるの?」
「あ?」
「やだなぁ、復讐だよ。約束、したでしょ?」
頬杖をついてこちらを伺うリリーに、
「まだ、全然」
と答えようとして、それに気づいた。
「ーーどうしたの?」
リリーの瞳が。
リリーの瞳に輝きがない。暗い暗い闇に包まれたような桃色。
言い方は悪いが、そうとしか表現ができないほど、リリーの桃色の瞳は闇がかかっていた。
それが、本当の彼女ではないことの最大の証拠だったから。
「お前は、違う。姉ちゃんじゃねぇ…!」
「どうしたの?わ、わたしだよ、リリーだよ…?」
「姉ちゃんはーー復讐だなんてこと、言わねぇよ!!」
「ち、ちがっ、それは…違うくて!お姉ちゃん、ちょっとでもウルフに楽になってほしくて…!」
「嘘だ。本当に姉ちゃんがオレを楽にしようとするなら、そうだなーー。
『もういいよ、ウルフ。お姉ちゃんのことは忘れて。今ある人達を、大事にして』
って、変わらない笑顔でそう言うはずだ!!」
「違うよ、違うのウルフーーお姉ちゃんは、わたしはっ!」
「お前の言うことには偽りしかないよ。すかすかの空っぽだ。だから、諦めろ……フーラ」
「ーー。ーーーーー。ーーぷう」
「迷った答えが、それかよ」
「もおもお、うるさーい」
リリー、否、フーラはその場でくるくると回り、もとの姿へともどった。
それに呼応してまわりの景色もあの白い空間へと変わる。
どうやら、成功、のようだ。