コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.79 )
日時: 2016/01/06 11:01
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

番外編 バカでも風邪をひく

ちゅんちゅん。ぴーちくちく。

いつも通りの朝。
いつも通り、窓の外で小鳥たちがさわぐ。
いつも通りに体を起こそうとしてーー。

「……ん、あれ?」

体が思うように動かない。
手に力が入らず、またベッドに倒れ混んでしまう。

「えぇ、どうしちゃったの、わたし……。ごほっけほっ」

咳をして、なんだか体が寒いなぁ、冬だからなぁなんて思いながら、仕方なしと布団にもぐりこむ。
布団はまだ温かみが残っていて、また眠気がおしよせてきた。

「あ、やばい。これ、ねちゃ…う」

「シュガー!いつまで寝てるの、早く起きてごはんのお手伝いしてよー」

瞼を閉じようとした瞬間、大きな声で怒鳴りながら小さな子猫が部屋に入ってきた。

「シュガー、おねぼうさんはダメだよって……え?どうしたの?」

ラユはシュガーを起こそうとベッドの上に乗り、シュガーの様子に驚いた。
シュガーの頬が真っ赤なのだ。

「う〜ん、わかんない。起きようとしたら力入んなくてね…。ごほん」

咳を大きくひとつすると、シュガーはラユに「ね、そこのティッシュどっで。鼻水でてきたよー」と見事な鼻声で伝える。
そんな状態のシュガーに、ティッシュをあげながらラユは「うーん」と考え、

「これは……。世に言うあれだね。『カゼ』ってやつじゃない?」

と結論をだした。

ー続くー

Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.80 )
日時: 2016/01/07 15:27
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

うーん。まさかこのわたしが風邪をひくなんて〜。
結構、頭いたいし喉いたいし体寒いしで辛いんだなー。

なんてうとうとしながら考えていると、がちゃりとドアがあいた。

「お、シュガーおきてんのか。優しくてかっこいいウルフくんがきたぞ」

「なぁに、怖くてかっこいくないウルフくん。お見舞いきてくれるの嬉しいけど静かにしてね」

「お前にそれ言われるのって府に落ちねぇ。まぁいいや。……ん」

ウルフはそう言って、何かをシュガーに差し出した。
シュガーは苦労しながらも体を起こし、それを受けとる。
まだ湯気がたつおかゆだった。

「うー。食べたくないから、いい」

ずい、とおかゆをウルフに返す。

「は?何いってんだ、栄養とらなきゃだろ」

ずい、とおかゆをシュガーに押し付ける。

「だってー。嫌なんだもん」

ずい、とおかゆをウルフに返す。

「おい、こら。食えっての!」

「いやだって!」

ずいずいずい。。。
おかゆの押し付け合いを続けていると、ウルフが観念したようにため息をついた。
勝ったのかとシュガーが目を輝かせると、ウルフは

「しょーがねぇな…ったく」

と頭をかき、おかゆのスプーンに手をつけた。
おかゆをすくい、口にもっていき、ふーふーと冷やしたあと、それを口にいれーー。

「……え?」

「え、じゃねぇよ。食えっつってんだろ」

つっけんどんにいい放ち、ウルフはさらにスプーンを近づける。
これはーー。あれだ。「あーん」だ。

でも、シュガーは食べる気にはなれず、ぷいっと顔をそむけた。

「シュガー。ほら」

ちらり、と目だけでウルフをみると、ウルフは優しげに笑っていた。
その顔が、くやしいけど、とてもかっこよくて。
顔が赤くなるのをなんとか押さえ、敗北感を味わいながらーー。

◇◇◇

「……。はい、よくできました」

「うぇえ。ごちそうさまでし…うえー」

「言葉の途中でやめんな、バカ」

案の定、胸のむかむかとした感じは消えなかった。むしろ、増した気がする。

「ーーねむい」

ぽろりと本音がでた。
ウルフは笑って、

「なら寝れば?今日だけは一日姫さんなんだからさ。水とかいるか?して欲しいこととかあるか?」

今日のウルフは優しいな、なんて思ったことは秘密。

望み通り、無理難題ことを言ってやろう、と口を開き、

「側にいて」

「ーーえ?」

一瞬何を言ったのか理解できなかった。
だってシュガーは今、「この星をちょうだい」だとか「お空ににいきたい」とか、ふざけたことをいうはずだったのに。

「い、いやっ、違うの。これは、これはねーー。ーーぁ」

慌てて言い訳しようとすると、その途中でウルフがどっかりとシュガーのベッドに座り込んだ。

その顔は、微かに赤くて、みていたシュガーも思わず赤くなってしまった。

「ーー」

「ーー」

その心地よい無言の空間は、ラユが部屋を訪れるまで続いた。


◇◇◇
というわけで、番外編でした〜。

ちなみに今までやってきた番外編、ハロウィン、かくれんぼなどはすべて第二章が始まる前の物語です。
ウルフとシュガーがpartnerになってから試験を受けるまでの空白の時間。
それらは全てほのぼのとした普通の物語なのですよー。
本編ではみられないウルフやシュガーを番外編などでたのしんでいただければなと思います。
ではでは、また次のお話でお会いしましょう。しーゆーねくすとたいむ!