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Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.82 )
日時: 2016/01/24 20:05
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

雪やばいな!雪だるま作ったどー!
(作者のどうでもいい雑談はおいといて本編更新するよー)

◇◇◇
41#空への願い

「………戻って、きた?」

眩しい日差しに瞼をやかれ、ウルフは顔をしかめながら体を起こした。
周りを確認し、あの白い空間でないことを確認。
複雑に思いながら吐息をつき、そして眠るシュガーに目を向ける。

シュガーは、立てた膝に顔をうずめて、まるでウルフを見守るように、その場所にいた。
きっとシュガーは、試験を終えて、そしてまだ試験を終えておらず眠り続けるウルフをずっとここで見守っていてくれたのだろう。

そうして彼女の優しさにふれながら、以前口にした過ちを、きちんと謝らなければ、と感じた。

とりあえず、シュガーを起こそうと考えて手をのばしーー。
考えをあらためる。せめて自然に起きるまでは、ーー今度はオレが見守ろう。

◇◇◇

シュガーが目を覚ましたのは、それから二十分ほど後のことだった。

「………ふ、………ぁ…あ、っあ!」

勢いよく声をあげるシュガー。
こいつは静かに起きられないのか、とウルフは思った。

「ご、ごめんね。ーーこれ、って…。ウルフの、パーカー、だよね…?」

シュガーは、自分に着せられているパーカーを指差す。
どこか態度がよそよそしいのは、おそらくウルフがまだ怒っていると思っているからだろう。
すっかりおびえた顔のシュガーに、ウルフは自分を呪いたくなった。
彼女にここまで似合わない顔をさせているのは、自分のせいなのだから。

「あー。お前、ノースリーブだし。寒そうだったから」

「かけてくれたの?」

「ーー。……あぁ」

とたんにシュガーの顔が明るくなった。

「ありがと、ウルフ。………試験、は?」

「ん!合格だな。楽勝楽勝。そっちは?」

「……ごめんね。わたしは、だめだったみたい」

シュガーはほんと、自分がいやになっちゃいそうだよ、とおちゃらけてみせる。
しかし、一瞬シュガー手足が震えたことを、ウルフは見逃さなかった。

「ーーシュガー」

「なぁにー?」

「前は、ごめん。あの時は、試験で切羽つまってて…。いっぱい、傷つけたよな。でも、本当は、あんなことーー」

「だいじょうぶだから」

シュガーは突然立ち上がって後ろをむいた。

「ウルフが本当はあんなこと思ってないことなんて、知ってるよ。だから、そんなに必死にならなくてもいーの!」

シュガーは顔だけをこちらに向けて、

「わたし、優しいウルフのこと、ちゃーんと見てたんだから」

…嬉しそうに、楽しそうに、儚げに。そういってシュガーは笑ってみせる。
ウルフはこの笑顔に救われてきた自分を、はっきりと自覚した。

あいかわらず、胸の高鳴りには嘘をつき続けたけど。

「さ、帰ろ。ラユがおいしいお料理作ってくれてるから」

はい、とシュガーはウルフに手を差し出した。
どうやらウルフを立たせてあげるつもりのようだ。

「男女逆だろ普通」

そうやって憎まれ口をたたきながらも、ウルフは差し出された手をしっかり握って立ち上がり、もう二度とその手を離さないようにと、空に願った。