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Re:   聖愛戦争。 <Chapter 1 更新中> ( No.1 )
日時: 2015/09/19 00:20
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: HTruCSoB)

Chapter 1
<そうだ、合コンへ行こう>





「おはよう、静斗(しずと)くん」
「おはようございます、叔母さん、叔父さん」

 ベッドから出て一階の食卓に向かうと、穏やかな笑顔の二人に迎えられた。白を基調としたリビングには、朝日が差し込んで少し眩しい。

 僕に実の両親はいない。正確に言うと、いなくなった。
 両親について簡単に説明しよう。僕が二歳のときに父親は家を出て行った。一人残された母親は孤独やら多忙やらで精神的に追い詰められ、挙句の果てにまだ一人で立つこともできない僕を置いて、不特定の男と夜の街に出掛けていった。僕は部屋で一人、脱水状態になっていたところを児童施設の人に保護され、大人たちの間で然るべき議論がなされた後、叔母夫婦に引き取られた。そうして高校二年になる現在まで、二人に育てられている。──叔母さんや施設の人から聞いた話を総合すると、ざっとこんなところだ。
 しかし僕は、決して愛情の足りない子供ではなかった。叔母夫婦は子供がいないということもあってか、僕を本当の息子のように扱ってくれる。
 だから叔母夫婦の下で生活することを嫌だと思ったことも、普通の家庭を羨んだこともない。そもそも僕は普通の家庭というものを知らないのだ。父親がいて、母親にネグレクトされる前は普通の家庭だったかもしれないが、幸か不幸か、そのころの記憶は残っていない。

 温かい食パンと目玉焼きを頬張り、制服に着替えると玄関に向かった。

「お弁当持った?」
 叔母さんに後ろから声を掛けられる。

「はい」
「今日は部活で遅くなるの?」
「多分」
「袖のボタン外れてるわよ」
「はいはい。行ってきまーす」
 
 高校生にもなるのに、叔母さんの接し方は小学生のころのそれと大して変わらない。最近はそのことがやけにくすぐったく、場合によっては面倒臭く感じるときもある。他の母親も皆こうなのだろうか。

 学校行きのバスに八時に乗り込んだ。
 先週から十月に入り、冬服の制服も快適に思えてくる。