コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 旅館『環』においでませ! ( No.6 )
- 日時: 2015/11/28 20:39
- 名前: 夕陽 (ID: rBo/LDwv)
百人一首
「そういえば私の家に百人一首なんてあったっけ?」
私はふと疑問に思い紅葉に訊ねる。
「百人一首は既に梢に準備してもらっているからな!」
紅葉は得意そうにふふんと笑った。
そういえばお母さん、宅配便待っていたみたいだったけどそれって……。
「そろそろ届くはずなのじゃっ! 楽しみじゃな〜」
やっぱりそのようだ。
紅葉は嬉しそうににこにこしている。
「なんで俺がガキのままごとに付き合わなきゃいけねえんだよ」
それとは対称的に不機嫌そうな十六夜。
「十六夜殿はきっと百人一首強いから我と戦うのはつまらないかもしれないが……」
「分かったらとっととガキ共でやれ」
「でも我は十六夜殿とやりたいのじゃ!!」
めんどくさそうに断っていたが紅葉の目に“うんというまで帰さない”と書いてあるのが見えたのか渋々参加することになった。
「じゃあ、旅館に行こうか」
稲荷さんがそう促し私達は旅館にもどった。
……というか私の家でやるんだね、分かっていたけど。
* * *
「丁度良かったわ〜。さっき来たとこなの」
家に帰るとお母さんがいつも通りの笑顔で言った。
もう私の部屋のテーブルに置いてあるらしく、札も広げてあるらしい。
準備が早いなあ。
「そういえば、つるさんはどうするの?」
私はどう考えても入り口より高いつるさんを見上げる。
壊すくらいしか私の部屋に行く方法が思いつかない……。
「それは考えてなかったのだっ」
紅葉は私の指摘に今気付いたようだ。
「というかまずはじめに札取るのが無理じゃねえか? こいつ、手ないんだぞ?」
十六夜の言うことはもっともだ。
何で早く気付かなかったのか。
「流石十六夜殿! 我が気づかなかったことに気付くなんて……!」
紅葉の十六夜の信仰が厚いことは置いといて、本当にどうしよう?
やっぱ本人に意見聞くのが一番だよね。
「つるさん、どうしますか?」
「そうねえ。流石に私が参加するのは無理があるわあ」
つるさんがそう言った時、
「我は皆でやりたいのだ!」
紅葉が私の袖をつかんで訴える。
とは言われても……。
「じゃあ読み手をやってもらうのはどうかな? 場所も僕が住み着いている神社なら広いしつるさんも大丈夫だろう」
確かに稲荷さんの提案はいいかもしれない。
「そうね、それくらいなら私にも出来るわ」
つるさんの賛同を得たところで私と稲荷さんと雪ちゃんで散らばっていた百人一首を箱に戻した。
ブルーシートをひくために紅葉と十六夜とつるさんは先に神社に行った。
そして、紅葉を楽しませるための百人一首大会が始まった。