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Re: 怨霊さんの世界征服。【リク・相談掲示板にていろいろ募集予定】 ( No.4 )
日時: 2015/11/24 16:27
名前: melody. (ID: dDPEYPay)

とりあえずこの街の喫茶店に行けばわかると、その特徴的な間延びした声で地図と共に言われた。

「あった。」

ぽつん、と。

小さな文字で『怨霊の_ここから先は見えない_』と書かれたボロボロの屋敷が建っていた。

一度認識すればその存在感は圧倒的だというのに、ボロボロで寂れているからか、元々人通りが少ないからか、またはその両方か。気付くまではそこら辺の石程度の認識だった。

先程棗から説明されたが、意思を込めて触らないと手は実体化しないらしい。故に私は意思を込めて扉をノックしようとした。

「こんにっちはーっ!今日も来ました、ってあっれれれぇ?リリィさんじゃないですねぇ、誰ですかーっ!?」

はっと振り返る。

静寂を打ち破るようにして現れたのはポニーテイルの活発そうな少女。いちいち大袈裟に振舞ったり煩いのは私の嫌いなタイプだ。

けど、全然足音とか気付かなかった。気配もしなかったし__

「ミミは浮遊霊ですから!足音はしませんよ!あとお姉さん、この世界で生きるにはすぐに顔に出るのやめた方がいいですよ!」

ミミ、という少女の忠告に少し顔を歪める。そんなに顔に出てただろうか。

「あらあら。お客様に失礼ですわよ?」
「リリィさん!あ、九十九さんも!」

鈴を鳴らしたような美しい声と共に、少女が現れる。

陶器のような白い肌。腰までのゆったりとウェーブされた黄金に輝く金色の髪。その瞳は大きく、空のような澄んだ群青色だ。何よりもその顔の比率はこれぞ黄金比率だと言わんばかりに整っている。その姿は『フランス人形』を体現している。きっと、彼女がリリィだろう。

リリィさんに付き添っている執事服の男。これもまた見事な美形だ。肌はリリィさんのような病的な白さではなく、健康的な白。その髪色と瞳は標準の黒だったが、どこか違った。きっと彼が九十九。

「こんにちは。私、フランス人形の九十九神のリリィ・カルロッタ。気軽にリリィと呼んでくださいまし。こちらは執事の九十九。彼は生身の人間ですの。自殺しようとしたところを私が助けて__嗚呼、貴方は個人情報をもらされたくないのですね。申し訳ございませんわ。」

段々と嫌そうな顔になる九十九に気づいたのか、リリィさんが手に持っている日傘をくるりと回しながら謝罪する。九十九はいえ、と一言言うと軽く解釈して一歩後ろに下がった。

「棗から話は聞いておりますの。さあ、お入りになって?」

くるくると日傘を弄びながら屋敷に入っていくリリィさん。それに九十九、ミミ、そして私の順番であとについていく。

この先には何が待っているのか。