コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: コトノハナイフ【アドバイス募集中】 ( No.5 )
- 日時: 2016/02/21 11:51
- 名前: 世界の果ての林檎 (ID: dDPEYPay)
「ひっ、久しぶり……」
外に出るのは、本当に久しぶりだ。燦々と光り輝く太陽も。
Aラインのワンピースの裾を握りしめて、きょろきょろと視線を彷徨わせる。多分、今ソラの顔を見たら倒れてしまう。それくらい、心臓が暴れてる。
「髪……切ったんだ。」
「あ……うん。でも、伸ばそうかな……。」
ソラが、言うなら。
押し黙ってしまい暫くの間沈黙が流れる。不意に、ソラが私の手を握った。男子特有の角ばった手にびっくりする前に、手で思わず振り払ってしまう。
「やっぱ、薫も……なのか?」
ソラにじっと見つめられて、コクリと頷いた。
「実はさ、あの日……あのときから、触れた奴の心が読める、みたいな……薫も、そうなんだな。」
「うん、そうみたい。でも____あの日、って何?」
私の問いに、ソラは面食らったような顔をして、そしてすぐに納得したような顔をした。
「覚えてない、か。当たり前か、あんなことがあったら……ま、それはいいんだ。」
私が何のことか聞く前に、ソラはその話を打ち切って、また、手を握った。
私はその手を振り払おうとして……やめた。
”あれ”特有の、人の感情が雪崩れ込んでくる__感染するような嫌な感じがしない。何も、感じない。
「多分、これを持ってる人間だと、反発し合うとかで無効化されるんだと思う。」
「ほ、んとに? でも、なんでわかったの?」
この手を離したらソラがどこかへ行ってしまう気がして、ぎゅっと握りしめながらソラに言う。
「俺と薫、そしてもう一人いたの、覚えてるか?」
「優雨くんのこと? 優雨くんも、ソラと一緒に残った筈だけど……」
「優雨も、引っ越してきた。忙しいから連絡できてない、とは言っていたけどな。」
鉢川優雨。ソラとは違って大人しい性格で、よく騒動に巻き込まれてた気がする。何はともあれ、幼馴染み三人が揃うなんて何年ぶりだろうか。
「優雨も、あの事件に巻き込まれてた。だから優雨も同じだったんだよ。」
__同じ。益々、”事件”のことが気になる。
何かが始まる。