コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 中澤さんと僕。 ( No.2 )
- 日時: 2015/10/01 17:34
- 名前: 白夜 ◆1V4CaE0ZHE (ID: 70vEHkeO)
episode 1 / 友達とは
「友達ってなんだろう」
授業中、ぎゃーぎゃーと無駄話をするクラスメートの声に苛立ちながら、僕はぽつりと呟いた。その呟きは誰かに聞こえることはなく、あっさりと教室に溶け込んでしまう。
これを誰かに聴いて欲しいわけでもない、聴いてくれる友達もいない。
友達がいないなんて、寂しい奴だと思われるかもしれないが、僕は友達がいないのを寂しいことだとも思わないし、友達がいないといけない、なんてことも思わない。
この世には友達が必要ないと思っている奴だっているのだ。
まあ難しい話はさておいて、どう友達を作るか、それが僕にとっての一番の問題だった。
今ぎゃーぎゃー騒いでいる奴らは、どういう繋がりで友達という存在を、関係を築き上げたのだだろう。
考えるのも少し馬鹿らしくなってきたので、教師の声に声を傾けてみた。けれど、その内容は今の僕には関係の無いものであり、微塵も興味が湧かなかった。
「桜川高校2年B組、高科昴でーす」
誰も聴いていないのをいい事に、小さく自己紹介してみた。もちろん誰も聴いていない。
ここまでくると少し感激する。ひゃっほう。
- Re: 中澤さんと僕。 ( No.3 )
- 日時: 2015/10/03 08:54
- 名前: 白夜 ◆1V4CaE0ZHE (ID: 70vEHkeO)
それから、授業が終わり、昼休みになった。
ほとんど人が残っていない教室に1人ぽつりと座っている僕は、まさに孤独。ボッチ。
少し寂しさもあるが、1人で弁当を広げるのにも慣れてきた。周りの奴も僕が1人な事に慣れてきたのだろう。
弁当に入っている冷凍の唐揚げを箸で摘んでうんうん唸る。手作り弁当食べたい。
と、唐揚げをもぐもぐしようとした時、
「あのー、ちょっぴりお話いいですか……?」
少し控えめに話し掛けてきた、名前も知らない女子。1度あったら忘れられそうにないほど可愛かった。
だが、他人とのコミュニケーションをあまりとっていない僕は、軽く頷くことしかできない。唐揚げを箸で摘んだまま。
「えーっと、あの、あの、」
「すみません、いきなり話し掛けちゃって。山崎くんの席ってどこですか?」
「えっと、わか、わかり、ません……」
僕がボッチから解放される日がくるのでは、と思ったがそんなに簡単に解放されるわけがなかった。山崎くん誰だよ。
- Re: 中澤さんと僕。 ( No.4 )
- 日時: 2015/10/06 18:51
- 名前: 白夜 ◆1V4CaE0ZHE (ID: 70vEHkeO)
山崎くんの席を聞いてきた子との青春物語が展開されるのでは、と少し期待してみたこともあった。
でも、現実は残酷だ。例の女の子とは何も無いまま、もう2ヶ月が経つ。
このまま、僕は青春時代なんて過ごせないんじゃないだろうか。もしそれが本当になるなら、人類全員の青春が消えてしまえばいい。そして僕と同じく陰湿な人生を送れ。
そんな事を言っている間にも、僕の青春時代は終わりに近づいていき、夢を見る時間も与えてくれない。
「友達を、ください」
恋より何より、まず友達を作らねば。
それには、勇気を。そして、神様を味方につけて。