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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: サムライの恋 ( No.3 )
- 日時: 2015/10/25 01:17
- 名前: キャッツアイ (ID: Z5cmkimI)
----------剣道試合-----
達也の、大学生活最後の剣道試合の日が来た。。
県内でもそこそこの競合レベルの猛者たちが戦う試合。
達也は、実力でいえば、少し格下の相手と対戦する事となった。
試合が始まった。
両者互いの剣先で細かく相手を刺激し様子をみあう。主導権を争いあい、間合いをはかっている。
相手が動いた。勝負を仕掛けてきた。
達也も一気に踏み込み間合いを詰める。剣の根元に両腕の力を込めて相手を押し、相手からの攻撃を封じる。顔と顔がくっつくほどの距離で押し合っている。腕から、微妙な力加減が伝わって感じられ、その一瞬のすきを突いて相手が飛び退く。うしろにすっ飛び、次の瞬間前へとびこみ同時に達也の面を叩きうつ。しかしこれは防がれた。
再び間合いを計り激しくにらみ合う。つばぜり合い。相手のタイミング、気の流れを読むような心理戦。いつしかけてくるのか。そのわずかな気迫をお互いにはかっているんだ。
そのとき、達也にはふっと相手が力を抜いたのが分かった。絶好のチャンス。相手の面が空いていた。
渾身の力で竹刀を振りかぶりストレートに頭を狙った。
ところが相手は、目の前に竹刀が振り下ろされようとしているのに、防ごうとしない。微動だにせず、逃げようとしなかった。ひるんで後ろに反る事さえしなかった。それどころか、振り下ろされた達也の竹刀に自ら顔を突き出すような形で突っ込んできたのだ。
審判の判定が下った。
達也より一拍さきに、相手の胴うちが達也の左腹に見事に決まっていた。素晴らしいカウンター。僅少の差での一本。
達也は彼に正々堂々敗北した。
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