コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 始まりはいつもアレ ( No.2 )
- 日時: 2015/11/07 23:45
- 名前: レオ (ID: nA9uECtX)
アメリカ中西部、ミズーリ州。
疑い深い州と呼ばれるこの州最大の都市がカンザスシティである。
そんなカンザスシティに暮らすどこにでもいるごく平凡な家庭、
それがトラウト家である。
ここはトラウト家のリビング。
「やぁみんな、俺がこの家の主であるヴィクター・トラウトだ
トラウトといっても鱒は食えないがな」
ビールを片手に笑っているこの男は世帯主のヴィクター。
父の経営していた自動車整備工場、トラウト・モータースの経営者だ。
「おい父ちゃん、誰に話しかけてんだ?」
このヴィクターの隣にいるのが長男のジャック、
地元の高校に通うごく普通の高校生だ。
「自己紹介に決まってるじゃない、
物語の第一話は自己紹介からというのがお約束でしょ」
彼女はヴィクターの妻にしてジャックの母親、ジャクリーンだ。
かつてモデルとして活躍しながらも現在は引退し、
専業主婦をしている。
「そうかしら?
トンプソンズの第一話はごく普通に食卓のシーンから始まったわ」
彼女はジャックの姉のアシュリー。
地元の大学に通う女子大生だ。
「とにかく、今日はこの物語の記念すべき第一話、つまり始まりの
瞬間なんだぞ、理想の始まりとは何かもう一度考え直そう」
「さすがヴィクター、あなたの考え方は一味違うわ」
ジャクリーンがヴィクターを持ち上げる。
ヴィクターが講釈をたれる。
「たとえば非行の始まりについて、
青少年が非行に走る前触れはこんなのがあるな」
・煙草や酒を始める
・親に反抗する
・深夜徘徊を始める
・アニメにハマる
「待てよ父ちゃん、アニメは関係ないだろ」
ジャックが反論する。
「何を言ってるのジャック、アニメこそが非行の全ての始まりよ」
とはアシュリー。
「アニメにはまった者の末路はこうなるわよ」
・声優の使っているシャンプーを特定する
・周りに気を使わなくなる
・なんでも擬人化する
・音楽チャートでアニソンが上位独占
・絵に恋をする
「それは一部の連中だけじゃねーか!」とはジャック。
「何を言うの、たかがイラストに恋をして
女の子に目も向けなくなるのは最低の親不孝じゃないの」
ジャクリーンが冷めた声で呟く。
「その通り、現実との区別がつかなくなるから
いつまでも結婚しないでいるんだ」
「さすがヴィクター、正義の人ね」
「偏見もちの時点で悪意たっぷりだろ」
ジャックがツッコミを入れる。