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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: アオゾラペダル ( No.12 )
- 日時: 2015/11/29 13:05
- 名前: 逢逶 (ID: KG6j5ysh)
episode9
title 甘え
「ただのケガだよ」
「はぁ…。わかるよ、そんなの嘘だって。ペンを持った時、吐きそうになってただろ。そういうのわかるんだって」
ばれてた。
今まで言わなかったのは裕樹の優しさなのだろうか。
「違うの…違うの…」
ひんやり、頬に冷たい感覚。
「なんで泣くんだよ。違うならなんで…」
「泣いてない。違うの」
否定すればするほど涙は溢れた。
「俺じゃ、救えないかな。俺が夏純のこと支えるよ。…だから泣かないで」
裕樹は私を抱きしめた。
私は涙をボロボロ流しているのに気にせず裕樹の胸元に顔をうずめた。
「…俺、お前のこと好きだ」
私は全身が熱で包まれるような感じがした。
裕樹は恋愛対象ではない。
でも、誰かがいないと崩れてしまいそうで。
私はゆっくり頷いた。
ずるい私は裕樹に頼ることにした。
本当はこんなことだめなのに。
「私…、スランプに陥っちゃって。…ペンすら持てない。…描かなきゃいけないのに、描けないの…。それで…今まで見ていた綺麗な景色が…、全然色が見えなくて…。こんな自分が嫌い…」
「…いつかまた描けるようになるから、頑張ろう」
私はなんだかスッキリできずにいた。
そもそも描きたいのかもわからない。
「保健室から…氷もらってくるね」
「うん」
裕樹は私の泣き腫らした目を冷やすため、保健室に行った。
やっぱり優しい。
私は誰かに甘えなきゃいけないんだ、そう思い込むことにした。
がらっ
裕樹だと思ってぱっと見た。
「レイ…」
レイは震える声で言った。
「お前がスランプに陥ったの…、俺のせいかもしれない」
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