コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: アオゾラペダル ( No.5 )
- 日時: 2015/11/16 21:25
- 名前: 逢逶 (ID: 9AGFDH0G)
episode2
title 美術部
前は学校が大嫌いだった。
友達と言える存在はいないし、何よりじめっとした空気が大嫌いだった。
顔色を伺うつもりは全くなかった。
だから自分らしく突っ走ってきた。
そしたら、私をわかってくれる人ができた。
海崎中学校美術部には私の仲間がいる。
学校に楽しさを見出した時、全て世界が変わった。
そして私は落ちてゆく。
しゃっ、と鉛筆を滑らせる音が響く。
暑くて辛い授業を乗り切り、部活の時間がやってきた。
三学年合わせて二十人部員がいる。
海崎中学校は言わゆる美術の名門校。
絵画展に応募すれば何人も賞をとってくる。
全国規模のポスター展だって毎年必ず誰かが大臣賞やら金賞やら持ち帰る。
勿論、美術部に入りたくてこの学校に入る人は沢山いる。
入学は許されるても、この学校には一つの部活に二十人しか入れないと言う決まりがあるため例年入部希望者が規定をゆうに超えてくるこの部活では入部テストが行われる。
その内容は三つある。
総テスト。記入問題で芸術に関する問題が出題される。
実力テスト。一枚水彩画を仕上げ出来を判断される。
想像力テスト。お題を受け取り時間内に自由に絵を描く。
私は、トップで美術部に入った。
とても嬉しかった。
実際、実力が証明されるように数々の賞をとって来た。
絵を描くことが好きで好きで好きで…。
今、とても幸せだ。
「夏純ちゃん」
「はい、何ですか?」
橘川先輩はふわふわしてるけど美術部では現在No.1の実力を誇る絶対的存在。
絵を描く時の表情がかっこ良くて。
本当に尊敬できる先輩。
「あのねぇ、今回の夏純ちゃんの絵、ここの色浮いてない?」
指さされたそこは、私から見ると別におかしくはなかった。
「…そうですかね?」
「うん、今はわからないだろうけど色を重ねたらおかしくなると思う」
私は腑に落ちなかったけどとりあえず色を変えてみた。
出来上がった作品はとても綺麗だった。
特に先輩に指導されたところが。
帰りは六時をとっくにまわって外は暗くなっていた。
今日はとても良い気分…
…とはなれなかった。