コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: アオゾラペダル ( No.6 )
日時: 2015/11/16 21:26
名前: 逢逶 (ID: 9AGFDH0G)

episode3
title 出会い

帰りが遅くなってしまい、お母さんにこっぴどく怒られた。

こうとはるが私にぎゅっと抱きついて必死に慰めようとしてくれた。
可愛い。


私はそっと二人の頭を撫でて大丈夫、と呟く。

遅くなったのは私が悪い。



夕飯はオムライス。
なんでも、お母さんの大事な人に教わった味なんだそう。
それが誰かは教えてはくれないけれど。


食卓の椅子に座って手を合わせる。
気まずくて小さな声でいただきます、と言った。

美味しい。


「ねぇ、美味しいねぇ?」

こうが言う。

「うん」

「おねちゃ、おむらいしゅ好き?」

「うん、好きだよ」


こうは私を〝ねぇ〟と呼ぶ。
はるは私を〝おねちゃ〟と呼ぶ。
これはなんでかわからない。



その日はちょっと憂鬱なまま終わった。




ぴぴぴぴっ、


目覚ましを止めて、リビングに向かう。
私の部屋は二階にあって、階段でふらつく。
小さい頃に転げ落ちたこともある。



階段をおりて、食卓につく。
用意してあるトーストを食べた。
お母さんはこうとはるを起こしに行った。
今日、お父さんは久しぶりの休み。
家でずっと寝ているんだろう。


洗面所で歯を磨き、顔を洗う。
冷たい。
やっと目が冴えてきた。


今日は学校に早く行って絵を描こう。


納得いく絵を描こう。



部屋でばばっと制服を着て、勢い良く階段を降りると
お母さんが行ってらっしゃい、とにこやかに言ったから照れながらも行ってきます、と言った。


自転車にまたがり、学校までとばす。



心地よい空気。
都会の汚い空気のはずなのに。

都会で生まれて都会で育って…、やっぱり感覚が鈍っているのだろうか。



自転車小屋に自転車をとめて、学校まで急いだ。
一番乗り。

この時間は先生もまだ二三人しかいない。




「おはようございます」

「あ、おはよう!早いなぁ。今日も描くのか?」

「はい」



先生から美術室の鍵を受け取り、三階の美術室まで走った。




鍵を開けてがらっと扉を開けた。








「誰?」



つい尋ねた。




見たことのない男の子がそこにはいた。