コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: はちみつとコーヒー。【更新中】 ( No.1 )
- 日時: 2015/10/25 00:00
- 名前: 向日葵 ◆.AJPkz4dwk (ID: SHYi7mZj)
【Story 1.】
真っ黒のパーカーを羽織りフードを被って、真っ白のヘッドフォンを首に掛ける。
それが、私——花京院 深月、蒼葉(Aoba)高校に通う高2の〝スタイル〟である。
この高校は、パーカーの着用は校内で禁止されている。ヘッドフォンなんかも、勿論禁止だ。
私は入学当時からこのスタイルで、色々な先生に注意されてきたのだが——1年も経つと、先生達も呆れて何も言わなくなる。
所謂〝自由人〟というワードが、私にはぴったりなのではないだろうか。
独り廊下の壁に凭れ掛かるようにして、外の景色を眺めていた。
それから更にフードを深く被り直すと、パーカーのポケットに手を入れる。
言い忘れていたが今は放課後で、11月の為校内に残っている生徒は私だけだった。
————と、そのとき。
「……校則違反」
「……は?」
背後から声を掛けられたかと思うと、ぐいっとフードが外されてしまう。
おまけに〝校則違反〟とまで言われてしまっては、黙ってなんていられない。
私はぎらりと目付きを変えると、くるりと声のした背後に視線を飛ばした。矢を投げるかのように。
そこにいたのは——見たこともないような、美男子の顔があった。身長が凄く高くて、細身の男子。
「——誰?」
「明日になれば、分かるんじゃない」
「は? え、ちょ、どういう意味?」
「——さあ、ね」
彼は、良いだけ喋って階段を降りていった。
私は外されたパーカーのフードを掴むと、しっかり被り直す。
「何なのあの人、」とぽつりと呟いた後、足元に置いておいたスクールバッグを掴み階段に向かった。
- Re: はちみつとコーヒー。【更新中】 ( No.2 )
- 日時: 2015/10/25 09:06
- 名前: 向日葵 ◆.AJPkz4dwk (ID: SHYi7mZj)
【Story 1.】
あっという間に、次の日の朝。
11月にもなると朝方が物凄く寒いものだから、私はベッドから出ることが出来ない。
それでも学校へは行かなければならないのだ、と自分に言い聞かせると、のそりと起き上がった。
ふあ、と大きな欠伸をひとつ。
それからぐっと腕を天井へと伸ばす。
眠気眼を擦りながら下の階へと降りていき、私はささっと身支度を整えた。
「じゃ、行ってきまーす」
「おう、行ってら。あ、俺今日友達ん家に泊まり込みだから」
私が「行ってきます」と言った相手は、少し年の離れた兄——皐月である。
私と同じく自由人な兄は、大学ものんびりと通っているし、勝手に友達の家に泊まり込んでいる。
……が、今日は珍しくきちんと報告してくれたという、滅多にない光景を目の当たりにした。
私は兄の報告に頷くと、ローファーをしっかり履いた。そして、昨日と同じくフードを被る。
何時ものこのスタイル、何時もの朝方の寒さ、何時もの兄の送り出し。変わったことと言えば、自由人な兄がきちんと報告をしてきたというだけ。
————そう、思っていた。