コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 樹海のエアガール【コメント募集中!】 ( No.11 )
- 日時: 2015/11/15 21:01
- 名前: シロマルJr. (ID: TM1He8zT)
4.いつもの広場に
ーー私はなんて薄情なんだ。
私の胸は、絶望でいっぱいだった。弟を見捨てたことについてだ。
「・・・マナミ?」
ソラマナが心配そうにこっちを見ている。
なんであんな事したんだろう。今後、自分の身が危なくなるかもしれない自分の身を優先して、澪也達にいじめられてた勇樹を置いて逃げた。確かに勇樹は力が無く、体も小さかったので、そのような対象になる事はあり得なくもなかった。
私は本当にサイテーだ。最低最悪のクソ女だ。
ーーそうだ、私があの場所で勇樹の代わりにいじめらたらよかったんだ、そうすれば、見捨てられた勇樹の気持ちが私にもわかるはずなんだよ、そしてそのまま私が死ねばよかったんだよ!
もはや空気ってなんだろうか?自暴自棄になっていると、
「ねえマナミ、勇樹見なかった?あの子一回帰って来たんだけど、すぐどこか行っちゃったみたいで・・・どこか分からないの」
部屋にママが入ってきた。そう、勇樹は最近、親にも言わずにどこかに出かけているのだ。さっきまで家にいたと思えば、忍者が急に姿を消すように、急に家を出て行ってしまうという事だ。
「勇樹?見てないけど」
嘘だ。勇樹ならついさっき広場で見た。いじめられてた。でも、そんな事を教えて余計な心配をかけたくない。
「本当にどこいったのよ、あの子ったら・・・」
私は勇樹の場所を知ってる。そろそろ帰ってくるはず。
「・・・探してくる」
そう言って家を出た。帰ってきてたら、勇樹に謝らなくちゃ。
現在の時刻は、午後6時45分。
あっちを探して、こっちを探す。しかし、勇樹はまだ見つからない。
ーーどこ行ったんだ?
「マナミ、さっきの広場探してみたら?あいつらまだいるかもしれないよ」
ソラマナの言う通りだと思った。行けるなら今すぐ行きたい。でも正直、澪也達に見つかるのは怖かった。見つかって、標的にされでもしたらどうする?
「・・・分かった」
覚悟を決めて、あの広場へと向かう決心をした。
すると、
「マナミちゃん?」
背後から声がした。振り返るとそこには、凛花が立っていた。塾帰りなのだろうか、お世辞にもオシャレとは言えない、ビニールバッグを持っていた。バッグには、塾の名前がプリントして書かれている。
「どうしたの、なんかあった?」
突然の質問に挙動不審になっていると、代わりにポケットにいたソラマナが答えた。
「マナミの弟の勇樹がいなくなったの!学校帰りに広場にいて、確か澪也と茂流とかいうクラスメートと一緒に・・・」
「澪也と一緒に!?」
そこまで言うと、急に凛花の表情が変わった。まるで何かを思い出したように。
「大変だよ!!今すぐその広場に行かなくちゃ!!」
「え・・・?どうしたの?」
私には、凛花が何か大事な事を知っているように見えた。
「話は後、早く!!」
そう言うと、凛花は私の手を引いて走っていった。明らかに様子がおかしい。凛花と一緒にあの広場へと向かおうとすると、
「よぉ姉ちゃん達、何やってんのこんなトコで?」
突如目の前に、二人組の男が飛び出してきた。大学生ぐらいだろうか?でも、一人は小太り、もう一人は背が高く髪を金髪に染めて見るからに頭が悪そうな二人組だった。
チッ、こんな大事な時に・・・
「行こう、凛花」
小声で凛花に呼びかける。私達がそそくさとその場を離れようとすると、
「おいおい待てよ、ちょい俺達と遊んでこーぜ!」
ーー気付かれた・・・!
金髪が私の肩に手を伸ばそうとした時、
バシッ!!!
「痛え!!」
突如金髪がうめき声をあげた。驚いて振り返ると、凛花が金髪の手を思い切り蹴り上げていた。金髪が手を押さえて座り込む。
「テメェ何しやがんだ!!」
あからさまに怒り出したと思われる小太りが、凛花に襲いかかる。しかし彼女はひらりと身をかわし、流れるような動きで、小太りの腹に勢いよく後ろ蹴りをお見舞いしていた。しかも塾カバンを持ったまま。
何が起きたのかわからず、呆然としていると、
「行こうマナミちゃん、走れる?」
凛花が私に呼びかける。私は頷くと、凛花は再び私の手を握って走り出した。二人組が起き上がって追いかけてくる。丈夫な奴らだけど、感心してる暇はない。
広場に向かうべく、私達は無我夢中で走り出した。