コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの恋を七色に。 ( No.12 )
- 日時: 2015/11/09 17:11
- 名前: 向日葵 ◆.AJPkz4dwk (ID: mvHHqCHZ)
#05 転校生は王子様?
3人で喋っていると、暫くしてチャイムが教室に鳴り響いた。皆、席に着いていく。
私は座ったまま、双葉はくるりと前に向き直り、雨依は双葉の前の席に着いた。斜め前の方——ほぼど真ん中を見ると、理人も前を向き座っていた。
がらりと扉が開かれ、担任が入ってくる。
寝癖みたいに黒髪がぴょんと跳ねていて、細フレームの眼鏡を掛けている、男性教師。
村瀬 隆之介(Murase Ryunosuke)という名前で、ルックスはかなり良い。その為か、女子生徒から人気を誇っていた。
女子生徒の目は、うっとりとしている。
何故女子という生き物は、こうルックスが整っているだけの男性に興味を持つのだろうか? 私には、全く持って理解不能である。
「今日は転入生の紹介からなー」
村瀬先生が言うと、教室の空気は一変。
ざわざわし始めかと思うと、女子は〝イケメン〟を、男子は〝美女〟が来るようにと、其々皆拝んでいた。
私は特に気にも止めず、外を眺める。
ざわざわ落ち着かない生徒を黙らせるようにと、村瀬先生が手を叩いて見せた。
先程より騒々しさが静まったことを確認すると、先生が扉を向く。
「んじゃ、入ってきて」
生徒が目を輝かせるなか、長いすらっとした脚が教室に踏み入れられた。
長身で、細くて、まるでモデルのようなスタイルである。彼が教壇の前に立ち正面を向くと、長い甘栗色の前髪で、綺麗な瞳が見え隠れする。
淡く微笑んだ彼は、細い指でチョークを掴み取ると、黒板に整った字を並べてく。
カツカツとチョークの音が響くなか、女子生徒は皆口に手を当て呆然としている。
彼はチョークを置くと、振り返った。
それからまたにこりと微笑みかけてくる。
そして、黒板に書いた名前を読み上げた。
「——柊 璃久です。宜しく」
アニメのような、イケメンボイス。
この声にやられたのか、女子生徒はついに歯止めが聞かなくなり、黄色い声をあげた。