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Re: 僕らの恋を七色に。 ( No.13 )
日時: 2015/11/09 17:49
名前: 向日葵 ◆.AJPkz4dwk (ID: mvHHqCHZ)




#06 さよなら、ひとり席ライフ


きゃあきゃあ煩い女子生徒達。
それとは逆に、男子生徒達は、がっくりと肩を落としている模様。残念だね、君達。

私は静まらない女子達の声に耳を塞ぎ、眉を寄せてへの字口になって見せた。
前の席の双葉は肩を竦め、寝ようとしている。
私も寝てしまおうかと、イヤホンをセットし窓の外に顔を向け、伏せたそのとき。



「柊の席は、諳世の隣な。一番後ろの」



先生が私の隣の空いた席を、指差した。
私は伏せようとした頭を、ばっと上げる。
嫌な予感しか感じない私に、一気に女子生徒達から冷たい視線が刺さってきた。

此方へと歩み寄ってくるのは、美青年。
柊 璃久とかいうそいつは、私の隣の空いた席に鞄を置くと、にっこり笑った。
背中に虫酸が走ったのは、気のせいではない。



「宜しくね、諳世さん」
「よ、宜しく、お願いします……」



口元を引き吊らせながら、返事をする。
女子から浴びる冷たい視線なんて、柊 璃久は気付いてない様子で、微笑んでいる。

せっかくの最高だった日々が。
私の大事な、ひとり席ライフが。
突然の転校生、しかも王子様気取りをしているような奴に、壊されることになるとは。



「さよなら、ひとり席ライフよ……」



彼に気付かれないよう、小声でそっと呟いた。