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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕らの恋を七色に。 ( No.6 )
- 日時: 2015/11/07 21:33
- 名前: 向日葵 ◆.AJPkz4dwk (ID: mvHHqCHZ)
#01 変わらない日常
時折吹く優しい風も。
絵の具で塗り潰したような青空も。
——全て全て、私に〝春〟を感じさせる。
私、諳世 優月は【百淋高校】に通う高校2年生である。因みにクラスはC組。
何時もと変わらないこの景色のなか、私はスクールバッグを肩に掛け直した。
まだ完全に夢から醒めていない私は、ふわあ、と大きな欠伸をする。女子力無しだ。
女子力なんて何処かに捨ててきた私だけど、唯一自信のある黒髪を撫でる。
すっと指を絡め通して、また絡めて。
そんなよく分からない行動を繰り返していると、後ろから頭を小突かれた。
「はよ、優月」
私が顔を上げれば、見慣れた顔。
上から降ってきた、聞き慣れた声。
私はその人があいつだと確信すると、表情ひとつ変えず振り向いた。
「おはよう、理人」
——味森 理人、私と同じ【百淋高校】2年C組の幼馴染みである。
理人は私ともうひとりの女子としか滅多に話さないのに、何故か女子から人気を誇っている。意味が分からない。
まあ、確かに理人の顔は整っている。
小学生のときから今まで、ずっと一緒にいた私と理人だったけど、皆の目には理人しか映っていないという訳で。女子から恨まれたりも、普通に。
なんて、過去のことをひとり勝手に振り替えっていると、理人が顔を覗き込んでくる。
理人の顔がこんなに近くにあってドキドキしないのは、きっとこの世で私だけだと思う。
「……何?」
「いや、何時も以上にぼーっとしてるから」
「余計なお世話。来ないと置いてくよ?」
私はふいっとそっぽを向き、理人を置いてスタスタと歩き出した。
そんな可愛らしさの欠片も無い私を、理人は足早に追い掛けてくる。結局私と理人は何時ものように、ふたり並んで高校へ向かった。
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