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Re: 溺愛DAYS〜小さな君への恋心〜 ( No.3 )
日時: 2015/11/15 11:07
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: xqGPflk1)

第一話〜波乱の幕開け〜

「……は、初めまして」

いきなりそこには、六人の美男美女がそろいもそろって笑顔で迎えてくれていた。ここはイギリスか、フランスかと思うほどに英国風の家具がきれいにセットされている。
真ん中のキングチェアには、レモネード色の髪でいかにも外国人という男子生徒が膝の上にセクシーな濃い紫色の女子生徒を乗せて有意義に座っていた。
またその横のロングソファーには、紅茶を片手に読書をする白銀の髪の男子生徒とその彼にべったりとくっついて身を任せているショートカットの女子生徒。
そしてその向かいのロングソファーに座っている小難しいいかつい顔をした濃い青の男子生徒がツインテールの童顔な女子生徒を叱っている。なぜ、叱っている理由は分からないが。

「知己ちゃん、先ほど、君は特許生徒に任命されたのを知っているかな」
金髪の男子生徒が流暢な日本語でしかも綺麗な透き通る声で私に聞く。

「特許……生徒?なんですか、それ」

聞いたこともない言葉に驚きつつ、私がなぜかその響きになじみがあったことも驚いた。本当に聞いたこともない言葉のはずなのに。

「やっぱり、君は知らないんだね。そう思ったから佑月、説明書」
彼の膝の上に座っていた女子生徒が説明書を私に出してくれる。
なんてしなやかな動きと思いながら彼女をチラッと見ると、微笑んでさぁと目くばせをされた。
早速、渡された説明書を読み始める。


「……この学校って恋愛禁止なんですね」

三十分後、静まり返った空気を破った私の第一声はそれだった。
分厚い説明書をぱたんっと閉じながら金髪の男子生徒をみる。

「そう。だから僕たちがいる。恋愛禁止だと愛情や慈しみの心が育たないため、
美男美女とみられている人気の生徒をこの部活に入部させ、尊敬の精神と憧れるという感覚を育てるために人気の生徒を飾る」

『愛情と慈しみ』。それは、優しい気持ち、心遣いと誰かを愛する気持ち、誰かを考える時間。
校則が厳しく、学力でクラス分けをしている千景高校は、上のクラスの生徒が下のクラスの生徒をバカにするということが多々ある。
そのため、昔は評判も悪く、人気のない高校だった。そんな高校が取り入れたこの制度。


「それが特許生徒ってわけですか」

きっと特許生徒になってしまったら、どんなに目立つことだろうか。
確かに、優位な立場、誰かから尊敬される、憧れる存在になってみたいという気持ちは多少あるかもしれない。だけど——

「なってくれるよね、木崎知己ちゃん?」
金髪男子生徒が絶対にこの子はなってくれるはずという期待の目で見る。
でも私はもうこのような事情だったら答えは最初から決まっていた。


「お断りします、特許生徒。私はそのようなものになるわけにはいかないんです」

きっぱりとまっすぐすわった瞳には迷いがなかった。
それをみた金髪の男子生徒は表面上、あきらめたが、心は花火のように燃え上がっていたのだった。

知己は、その場に後にすると、教室にそそくさと戻る。
なぜならお弁当を忘れた私に凛久が購買でパンを買ってきてくれると言っていたからだ。


「あー!知己、どこいってたんだよっ、心配したんだからなっ」
と教室にすました顔で戻ってきた知己にそう呼びかけるのだが、奏いう彼は、パクパクと購買のパンを食べていた。

「ごめんねっ、ちょっと用事があってね」
そういいながら向かい合わせになって買ってきてもらった菓子パンを食べ始める。


「ふぅん?そういえば、知己、これ見ろよ。知己の名前、載ってんだぞ、ほら」
ポケットから取り出したスマホの画面には、私の名前が堂々と大きくそのサイトに載っている。

「これって……?」
どういうことと凛久を見ながらそのサイトの題名を見る。
なにか不吉な予感がしてならない。不安になりながらも、

『千景高校裏版公式サイト』と漆黒の画面に赤い文字で書かれたその言葉をじっと彼女たちは見つめていた——