コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】 ( No.101 )
- 日時: 2017/12/18 11:44
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: A7M9EupD)
『部活対抗リレーは出場する部活は全員コスプレでーす』
そんなアナウンスが入ったのは、体育祭開催日の一週間前だった。
坂神優那は思考回路が停止しかけた。なんか訳の分からない事情に巻き込まれたような気がする。そもそも部活対抗リレーに出ることになってからそんなことを言われてもって感じである。
だが、規則は規則。やらなければならないのだ。
「でも、あの、バニーは寒くない……?」
部長から渡された衣装は、ふざけたバニーガールの衣装だった。巨乳である優那が着れば、たちどころに体育祭は如何わしい方へ早変わりだ。
なんとかしなくては。
焦った優那は、近くにあった着ぐるみに着目した。これなら露出も少ないし、いいのではないのだろうか。どこの誰が使うのか分からないが、交換させてもらうとしよう。
部活対抗リレーの衣装は、とある教室で保管されているのである。優那はちょうどその保管室に衣装を置きにいくところだったのだ。そしてちょうど見つけた着ぐるみを、弓道部の保管場所に置いた。
よし、これなら完璧。
坂神優那はそそくさと保管場所から離れようとしたのだが、次の瞬間、凍りつくような場面に遭遇してしまう。
「あれ? 坂神、なにやってんだ?」
「ッ!?」
心臓が口から飛び出るかと思った。
ちょうどそこへやってきたのは、クラスメイトの菊川柊だった。そうか、彼はサッカー部として部活対抗リレーに出るのか。
しまった、この行為がバレてしまったらどうしよう。あの着ぐるみってサッカー部のものだっただろうか。視線を彷徨わせてあれこれ考える優那になにかを感じたらしい柊が、ポンと手を打ってくる。
「もしかして、部活対抗リレーのコスプレの衣装を置きに? なにになるんだ、弓道部は?」
「……ば、ばにー……」
「バニー? え、バニーガール? 嘘だろ、そりゃねえよ!!」
だよね、知ってる。
優那はその言葉を言いかけたが、「あ、そうだ!」という柊の声に飲み込んでしまった。
「じゃあ、露出の少ない部活と衣装を取り替えればよくね?」
「え、えっと」
「なんならサッカー部の奴を持っていけよ!」
柊はそんなことを笑顔で言ってくれるが、すでに取り替えているので「うん」とは頷けない。
「その、どんな衣装?」
「着ぐるみだったな。熊さんの」
ていうかもう交換した後だった。
「その、じゃあ……」
「いいって! 代わりにバニーは俺が着てやるよ!」
「えっ」
ニカッと満面の笑みで言ってくる柊だが、自分がなにを言っているのか理解しているのだろうか。
混乱というか、若干引き気味の優那を察したのか、柊が「違う違う!」と訂正してくる。それでもバニーガールの格好をすることには変わりはないのに。
「実は、やーさんと同じレースで走るんだ。負けられない戦いなんだよ、コスプレでもリレーでも」
「やーさん……ああ、サバゲー部の……」
「そうそう。やーさんは絶対にイロモノ衣装を着てくるだろ? あの馬鹿のことだから」
ふとクラスというか、学校一の馬鹿のことを思い出す。
彼のことだ。きっとなんか色々まずいものを着てきそうな感じではある。だって馬鹿だから。学校一の問題児で、究極のいたずら馬鹿だから!
そう思うと、バニーもなんか霞んで見えてくるような……?
そろそろ坂神優那の正気もカキコ学園のカオスさに飲み込まれつつあった。
「そう、じゃあ、期待してる……」
「俺の肉体美を見せてやるぜ」
親指を立てて笑う柊に、坂神優那は安堵の息をついた。
これで変態枠から逃れられた。