コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】 ( No.102 )
- 日時: 2018/01/05 16:23
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: zL3lMyWH)
吉田莉音は後悔していた。なんで生徒会なんて面倒なものに入ってしまったのかと。
こうなることは分かっていたし、覚悟もできていた。ある程度は。だが限度だってあるだろうに。ああ、神様。どうか生徒総会付近でやり直しを!
と、強い信仰心を持ち合わせていないのだからいくら莉音が祈りを捧げたところで時間など戻りはしない。暁美式タイムリープ術を習得したいと思った。
「んしょ、っと。これ絶対に運動部とかがやったらいいと思うんだけどなぁ」
莉音は現在、人手が足りないからという理由で次の種目に使われる飴食い競争の飴を、白い小麦粉の中に大量投入していた。ちなみに彼女は生徒席に戻っておらず、小田原博人と史岐彩が「パン食いと飴食いのどちらが公開処刑か」などというくだらない学級裁判は知らないのである。
という訳で、バットの中いっぱいに埋め尽くされた飴入り小麦粉の海を見下ろして、莉音は「やってやったぜ」とばかりに薄い胸板を張った。よし、完璧。
「わーお、これバラエティとかでよく見る奴じゃんね」
「すごーい!」
「わあ!? い、いつの間に!?」
いつの間に体育倉庫へやってきたのか、クラスメイトの天利いろはと真上ののがひょっこりと莉音の背後から顔を覗かせていた。ここは一応、関係者以外立ち入り禁止なのだが。
いろはの方はにやにやとしたなにかいたずらを企むような笑み、そしてののは至って純粋なキラキラとした瞳を小麦粉の海へと注いでいた。
「ここ、一応係の人以外は立ち入り禁止なんだけど……」
「カキコ学園の生徒だから関係者以外立ち入り禁止とかナシだぜナシ。そんなこと言ったらやーさんだってやばいじゃんね。色々不法侵入やらかしてるもんね」
「え!? 警察警察!?」
「そうだよ、ののちゃん。是非にやーさんへピストル突きつけて『逮捕しちゃうゾ』ってウインクしながら言ってみ。余罪が出てくると思うから」
いろはが冗談半分で言うと、ののは「こうかなっ!?」とおもむろにポーズを取り出す。人差し指をピンと伸ばし、まるで銃口を突きつけるかのように先端を莉音へと突きつけ、バチーンとウインク。
「逮捕しちゃうゾ☆」
……高校生がやるようなポーズではないのだが、莉音はどことなく苛立ちを覚えた。いやポーズ云々ではなく、彼女のとある身体的特徴に。
すなわち胸である。
こう、ポーズをとった拍子にゆさっと弾んだのである。ラノベ的に『たわわに実った〜』とか『豊満な〜』とか表現されるアレである。視界の暴力。
莉音は静かに自分の平原へと視線を落とした。弾むほどない。心が弾むとかそういう表現は聞いたことが無きにしも非ずなのだが、もうこれは挑戦状なのだろうかそうなのだろうか。
「ちょっと、ねえちょっと? 大丈夫? 小麦粉をばふばふ叩いてるから舞ってるよ、白いの」
「ぶへぁ!? げっほこほっ!!」
無意識のうちに小麦粉の海をぶん殴っていたようで、目の前を細かな小麦粉の粒が舞う。吹雪よりも酷い。激しく咳き込みながら小麦粉の嵐を払いのけるが、おかげで莉音は真っ白けになってしまった。
すると、なにを思ったのかいろはが他の小麦粉入りバットを覗き込むと、
「そいやっ」
ばふっとぶん殴った。
ぶわっと小麦粉が宙を舞い、いろはの顔面へと襲い掛かる。
「けほ、こほっ。こりゃ酷い!! あはははは!!」
なにが面白いのか、顔を白くさせたいろはは腹を抱えて笑っていた。莉音のやることを遊びかなにかと勘違いしたのだろうか。
ののも楽しそうに「ばふばふーばふばふー」と言いながら、何度も何度も小麦粉を叩いていた。そのたびにぶわっと小麦粉が舞い上がり、彼女の頬や鼻の頭を白く染める。
「ほら、これでお揃い。ふははははは!! ののちゃんが一番白いね!!」
「美白」
ドヤァとののは白粉を塗りたくったような顔で自信満々に胸を張る。ボケなのか本気なのか分からないが、とりあえずその豊かな胸が心底恨めしい。
それでも。
(——まあ、いっか)
小麦粉は洗えばどうにかなるし、殴ったものは仕方がない。いいサンドバックでした、と莉音は締めくくった。
ともかく、次の飴食い競争の準備は終わったのだ。
「あ、ねえねえ。やーさんが阿呆で騒がしいお祭り野郎認定を受けてる。クソワロス」
「本当だ。騒がしいのも好きだけどなぁ」
「あと王良先生がムサイ男どもに追い掛け回されてる」
「なにがどうしてそうなったの!?」