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Re: 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】 ( No.105 )
日時: 2018/02/28 22:25
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: 6PL6dW6J)

 騎馬戦という名の地獄がこの世には存在する。
 カキコ学園の体育祭の名物でもあるこの騎馬戦、実は結構ルールが緩い。去年なんかは陸上競技に使われる槍を持ち出してきたことから武器禁止の規則が通達されたが、
 何度でも言おう、基本的に規則は緩い。超緩い。もう脳内お花畑の夢見る女の子よりも、めちゃくちゃ緩い。

「つー訳で、行きます」
「ねえやーさん、今年は武器禁止って言われてるのになんで僕は紙鉄砲を持たされてるのかな?」

 優羽、柊、長門の三人の騎馬の上には三野上紘が、新聞紙で作られた紙の鉄砲を持たされた状態で乗っかっていた。ちなみにその頭であるが、取れたらおしまいなハチマキはしておらず、頑丈そうな黄色いヘルメットをしていた。
 余談ではあるが、彼は昨年、砲弾のようにぶん投げられたことがあるのだ。おかげで三年の騎馬を一つ潰すことは叶ったが、危うく紘は昇天するかと思ったのだ。
 閑話休題。
 新聞紙で作られた鉄砲をひらひらと振る紘を見上げ、優羽は「あはは」と笑った。

「それで相手を怯ませられれば楽勝だよな!! 今年こそ三年生に勝ってやるぜ!!」
「反則負けで即座に退場とかならないよね?」
「大丈夫。その辺りは審判抱き込んだから」

親指をグッと立てて清々しいほどの笑みを浮かべたのは、優羽の常から行動を共にしている長門だった。

「審判のゴリラへ『ゴリラ総受け』の同人誌を書いて贈呈したから」
「目に毒だよッ!?」
「ちなみにトーン張りとベタ塗は俺としゅーやんも一緒に頑張った」
「褒めて」
「褒められるものじゃない!!」

 ボケ三人に対して果敢に突っ込んでいく比較的常識人の紘は、ヘルメットで守られている頭を抱えて盛大にため息をついた。どうして騎馬の野郎はまともではないのだろうか、と悩み始めたところである。
 ところが、深々とため息を吐く紘を「武器が不満だ」と感じ取った馬鹿日本代表の八雲優羽は、その青い瞳を輝かせる。

「みーくんはあれか、武器が不満か。それなら仕方がない、我がサバゲー部とっておきの水鉄砲を貸し与えてやろうではないか」
「偉そうな口調が気に食わないんだけど、一応聞いておこうか。性能は?」
「んにゃ、ダイヤモンドが切断できるらしい。ヒロ情報」

 それ工業用のウォーターカッターじゃねえか——紘は盛大に胸中でツッコミを入れたが、もう言葉に出すのも億劫だったので首を横に振って「ううん、いい」と辞退した。

「三野上、借りといた方が身の為だと思うぜ」
「ごめん菊川君、ウォーターカッターって多分人を殺せるから無理だと思う」
「甲冑相手に勝てる? そのチャチな玩具で」

 ……………………。
 甲冑?
 どこの誰がそんな甲冑を着こんでいるのかと思いきや、なんと最強無敵を誇る三年生の中に甲冑を着た騎馬がちらほらと混じっていた。しかも騎馬の方は馬の被り物までしている。
 あれか、ここは仮装大会かなにかか。
 眩暈を覚える紘。対抗心を燃やして「強力水鉄砲を持ってくる!! 今すぐ!!」と言って、一時的に騎馬を解体して長門と一緒になってサバゲー部の部室へと急ぐ優羽。柊は観客席で見ている俊樹へ投げキッスをしては中指を立てられていた。
 混沌である。もう混沌としていて収拾がつかなくなってきている。
 波乱を知らない一年生。
 全てを知りながら堂々と構える三年生(甲冑つき)。
 そして新人と猛者の間に挟まれながらも、この中でひときわ異彩を放つ二年生(武装済み)。

 三つ巴の戦いの火蓋が、今切って落とされた————!!