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- Re: 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】 ( No.69 )
- 日時: 2016/11/13 22:23
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: 5/xKAetg)
ACT:1 八雲優羽
腹が痛い。
「うがぁぁぁああああ…………!!」
鈍い痛みを発する腹を押さえて、優羽は背中を丸めて呻いた。
腹が痛い。ものすごく腹が痛い。尻の方から『自主規制』を通り越して腸まで出てきて痔になりそうだ。これでは五里川と同じ末路を辿ってしまう。そんなのは嫌だ。
でも腹が痛いのだ。現実逃避はできない。腹痛が無理やり現実へ引き戻してくるから。
「何で……何でこんなに、腹が、痛い……いたたた……俺、日頃の行いめっちゃいいはずなのに……」
この場に彼の相棒がいたら、「嘘ついてんじゃねえよ」と厳しい言葉があるだろうが、今はそんな鋭いツッコミを入れてくれる心優しい相棒はいない。
何故ならここは男子トイレだから。女子禁制の男子の聖域だから。
優羽はいまだ痛む腹をさすりながら、震える指で制服のポケットから携帯を掴む。大画面に表示されたキーパットで四桁の番号を打ち、ロックを解除。最初に目についた無料通話アプリをタップする。
四月中にクラス全員と半ば無理やり連絡先を交換し、今や優羽のトーク履歴はクラスメイトの大半で埋まっている。一番上にきているものはグループトークで、優羽を含めて五人がメンバーとして登録されていた。
「トイレって暇なんだよな」
優羽はトイレで長居する時には、よく漫画本を持ち込む。なんか癖のようなものなのだ。漫画やらゲームやらを持ち込んでトイレに引きこもり、双子の姉に怒られたりするのである。
しかしここはカキコ学園、漫画本の持ち込みは——まあ校則には書かれてないからいいだろうけど、どのみち持ってきたとしても教室にあるのだ。今手元にあるのは携帯のみ。
慣れた手つきでポチポチと文章を打ち込み、送信する。ポコッと小さな音と共に、トークに優羽が打ち込んだ文章が出てきた。
八雲優羽:トイレは暇です
八雲優羽:教室は今どんな感じ?
さて、相手はどう出るか。返事がくるか、はたまた既読無視か。既読無視をする場合は、大概弄られている時なので、その時にはスタンプ連打で爆撃開始である。
ところが。
「……あるぇ?」
わざとらしく巻き舌をして、優羽は首を傾げた。
既読すらつかない。
「そんなに授業に熱心だったっけ!? ヒロなんかは戦艦を組み立てたりなんか訳の分かんない機械を作ってたりしてるだろ!? モガトはすぐに反応してくれるし、べーやんとあずにゃんは既読ぐらいつくよ!? ていうか前にも一回授業中に送って、あずにゃん返してくれたよ何で!?」
酷くねえ!? と優羽は絶叫する。それほど授業に熱心な友人たちだっただろうか。
学生の本分は勉強であるとよく聞く言葉だが、優羽は勉学に熱心ではないのだ。その為学力テストなど下から数えた方が圧倒的に速いという状況である。畜生、涙出てきた。
だが、他の生徒を優羽と同列視してはならない。優羽の友人である梓啓香や紅河玲奈、小田原博人、最上長門は学生らしく勉強熱心なのだろう。故に授業中のメールなどもってのほかのようだ。絶対にそうだ。
「クッソー!! ショッカーみたいなマスク被って教室に戻ってやるーッ!! いやショッカーマスクないけど!! いいやジャミ○で!!」
見てろよ笑わせてやるからなッ!! と意気込んだ優羽に再び腹痛が襲い掛かり、悲鳴を上げてダンゴ虫のように背中を丸めていた。