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- Re: 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】 ( No.81 )
- 日時: 2017/04/03 11:48
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: 7WYO6DME)
ACT:7 小鳥遊夢都
幸せな夢を見ていた気がする。
その内容までは思い出せないのだが、とにかく幸せな夢だ。眠ることこそ至高、眠り万歳、睡眠万歳、睡眠欲最高である。
それも普通なら受けなくてはならない授業中に、惰眠を貪るなど最高ではないか!!
そう思っていたはずなのに、夢都は突如横から与えられた衝撃で飛び起きることとなった。隣人である少女は坂神——優那と言ったか。記憶が正しければ間違いはない。せっかく貪っていた惰眠から叩き起こされた夢都は、少しだけ機嫌が悪かった。
「何」
「これ」
優那が投げてよこしてきたものは、小さく折り畳まれたノートの切れ端だった。何でこんなものが回ってくるのか。嫌がらせなのか。
怪しげな視線を少女へ返すと、彼女は反対隣にいる春川俊樹へと届けてほしいと宣った。このゴミを届けたら、ぶん殴られるのは夢都ではないのか。邪推してしまうが、まあ誰かからの手紙だろう。ラブレターだろうが呪いの手紙だろうが悪口が綴られた手紙だろうが暗号文だろうが関係ない。夢都はポイとゴミみたいな小さな手紙を、隣の生徒の机へと放る。
無事にミッションは達成した。あとは再び惰眠を貪るだけだ。
「ぅへへへ」
「…………」
なんか今、背後から変な声が聞こえてきたような——?
突っ伏そうとしていた体勢をピタリと止めて、夢都はゆっくりと背後へと視線を投げた。確か背後には、初日で涎を垂らして妄想をしていた女子生徒だったような。
そして案の定、夢都の予想通り彼女は半笑いの状態で妄想をしている最中だった。授業の内容が書かれたノートに、ありったけの妄想らしい言葉が綴られている。というか美男子同士が半裸で絡み合った絵が描かれていた、やたらと上手かった。
「何してんの」
「ハゥアッ!? わ、私のヴァイブルをみみみ見てしまったのですかッ!? 目が腐りますよッ!?」
後ろの生徒——九十九瑞貴は慌てた様子でノートを隠した。もう時は遅いのだが。ていうか、焦りすぎてバイブルがヴァイブルになってしまっていた。噛んだことを思い返したのか、瑞貴は見る間に顔を赤く染める。
うん、確かにヴァイブルは恥ずかしいな。夢都が納得したように頷くと、瑞貴の隣の男子生徒が声を押し殺して笑った。
「クックック……聞いちゃった、聞いちゃった。なにヴァイブルって、つかその妄想ノートすげーな」
「ちょ、覗くのやめてもらえません? あなたも組み込まれたいんですか?」
そうなるとあなたは烏丸さんと組み合わせますかねーいっそ大山田さんと堂条さんも組ませて『自主規制』でもしますかー? なんて男としては聞いてはいけないような内容が垂れ流しになったので、さすがの男子生徒——佐々木宗近も震えていた。腐った女子は怖い。
だが、なかなかいいネタかもしれない。
「ねえ、それ僕がやってみようかー?」
「え? ヤる?」
「そっちじゃなくて、文章に興す方」
これでも小説家を目指している夢都は、首を傾げてお伺いを立ててみる。佐々木宗近の方は「え!?」と慌てた様子だったが、それを掻き消すように夢都の手を取って瑞貴は瞳を輝かせる。
「ぜひよろしくお願いします!!」
彼女の礼と共にガラリと教室の扉が開いた。誰かが戻ってきたのだろうか。
そういえば、クラスの問題児である銀髪の男子生徒——八雲優羽がトイレに行ったきりだったが、彼が戻ってきたのだろうか。