コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】 ( No.90 )
- 日時: 2017/07/20 12:03
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: 7WYO6DME)
巻き込まれたのは可哀想だと思うが、貧乏籤を引かなくてよかったと心の底から思った。
最上長門は木陰でスポーツドリンクの入った水筒を傾けながら、これより行われる男子の借りもの競争を観戦する。第一走者は優羽、第二で響、第三で里琉という順番になっていた。
まあ、他人事であるが個人的に楽しみである。この混沌としたカキコ学園なら、きっと体育祭実行委員はいい働きをしてくれることに違いない。
「借りもの競争なんて今どき珍しいわよね」
優羽の相棒とも呼べる女子生徒、梓啓香の言葉に紅川玲奈が同意する。
「『他人のヅラ』とかいうお題が出ても、やーさんなら楽々こなせそうよね」
「あー、無理やりはぎ取ってきそうッスね」
ニコニコと満面の笑みで玲奈が言うものだから、長門は簡単に想像できてしまった。
カキコ学園随一の問題児である優羽ならばやりそうだ。ヅラを被った奴を狙って、「偽りの髪を頂戴する!!」とか時代劇風なノリで。容易く想像できるからこそ、優羽は突拍子もないのだ。
と、ここで疑問が生じる。
「ねえ、好きな人とか漫画みたいなお題が出てきたらどうするつもりなの? あの馬鹿は」
「…………そんな漫画みたいなことってあるの?」
名探偵張りに推理し始めた啓香の隣で、玲奈が驚愕に満ちた表情を浮かべた。
さすがに長門でも、優羽の好きな人の話題は聞かない。口を開けばいつでも馬鹿みたいな発言か、いたずらの相談だ。色恋沙汰なんて無縁の存在だと思っていたのだが。
パァン、という乾いたピストルの音がして、第一走者の優羽が走り出す。他のクラスの生徒を鮮やかに抜き去ってお題の書かれた紙へと到達した彼は、何故か石像と化した。
『さて、第一レースの借りものは全員同じ「好きな男子」!! 喜べ腐った女子と野郎ども、仲よく手を取り合ってゴールする野郎どもが見られるぜ!!』
その横顔に、殺意のようなものが滲んだ。優羽のそんな表情を見るのは初めてだった。
というか好きな男子って。
それもう完全に腐った野郎どもには美味しい展開じゃないか!!
「本気と書いてマジかよ体育祭実行委員!! 新刊のネタにできるぜ、夏コミには困らねえなァ!!」
「モガト、大丈夫? 頭の方」
「興奮しすぎて鼻血が出てるんだけど、ティッシュいる?」
興奮のあまり立ち上がった長門は、鼻から出てきた興奮の残滓(鼻血)を拭いつつ、楽しい楽しい借りもの競争を食い入るように観戦する。一瞬の隙も逃さんとばかりである。ついでに目が血走っている。
優羽はなにかを考えるそぶりを見せてから、真っ直ぐに自分のクラスの方へと歩み寄ってきた。そうして背負っていったのは、
常に行動を共にしている発明家の小田原博人だった。
LOVEじゃなくてLIKEだと説明をしていたが、そんなことはどうでもいい。今!! 目の前に!! あるのが事実だ!!
「エンダァァァ————————!!」
「イヤァァァァ————————!!」
優羽がゴールすると同時に、長門は空を振り仰いで叫んだ。
同じことを思ったのか、九十九瑞貴も叫んでいた。
ちなみにこのあと、九十九瑞貴と小鳥遊夢人との合作である『科学者鬼畜攻め』がカキコ学園の裏ルートで出回ることになる。