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Re: 約束の剣〜デスゲーム〜 ( No.13 )
日時: 2015/11/24 22:32
名前: アウリン ◆gWIcbWj4io (ID: H/64igmC)


第二章  眠りの森の美女


〜6〜

 私は皆を振り向き、先頭を突っ走る。
 そして、あの階段のところまで来た。

 あ〜れ〜?
 なんか王子様、押されてる?

「うわ、負けそー」

 私が思わずつぶやくと、皆が頷く。

「思ったんだが……」
「?」

 シアンが言い、皆の注目が彼に集まる。

「もしかして、これは俺たちがこの城に入る事によって起こるイベント か何かで、王子を助けておとぎ話の通りに事を進めろ、とか……」
「え、もしそうだとしたら、私たちの存在自体ダメじゃない?」
「うーん……」

 確かに、シアンが言った通りの事も考えられる。
 しかし、もしそうだとすると、「私たちの存在自体が物語を変えてしまう」のである。

「ま、ごちゃごちゃ考えずにドラゴン倒しちゃおうよ。考えてても切り が無いし」
「そうだね」
「確かに」
「切りがないのは……そうですね」
「じゃあ、私はここから狙うね」

 それぞれが返事をする。アーナは弓士……アーチャーだ。そのため、高いところから狙わなければならない。よって今はここが一番攻撃の場所に適しているのだ。

「俺たちは下に降りよう」
「はいっ」

 大きい獲物———物理的に———との戦闘は初めてだ。

 王子が躓いてよろけ……コホン、王子様がすきを突かれ体勢を崩された。
 相手のドラゴンはファイヤードラゴン、真黒で、核は恐らくあの魔女。

 ドラゴンが息を吸い込み、再び王子に向かって炎を吹こうとした。
 私はその直前に躓いてこけた……オッホン!コホン!えー、まあとにかく、王子の前に回り込み、防壁を気付きあげる。
 炎を吹くときはゴーゴー煩いけど、その直後は静かになるんだよね。
 そのため私は特に声を張り上げるわけでもなく、普通の声の大きさでしゃべった。

「おやめなさい。これ以上悪事を働いてはいけません」
「は?何を言っておる?お主などに我は止められぬ!そなたは我の敵で もないわ!」

 なんか和風?洋風なのを期待していたんだけど。

「我が下部となれ!」

 ねえ、おかしくない?
 弱いんだったら下部にしても意味無いと思うんだけど。

「あなたはそれで良いのですか?……あなたにも、まだチャンスはある はずです」

 おお、我ながら、かっこいい!
 やってみたかったんだ。ほら、ピンチに陥ったところに現れた、謎の冷静沈着な少女。出来れば「美」少女にしたいのだが、私ではそれは叶わない。そしてコツは、ミステリアスで、声はおとなしく抑えて……。そしてその少女は例え相手がだれであろうとも、救いの手を差し伸べる……!

「はん!消え失せろ!!」

 私の「正義の味方」を演出するための一人芝居はその一言によって終わり———これもちゃんと考えてやったんだよ!こうすれば、なんとなく物語っぽくなるでしょ!?……かなり身勝手なところがあるのは否定はしないけど———全員が武器を構えた。

『アーナは直に魔女を狙って。他は魔女の動きをなるべく固定、できれ ばアーナの存在を気付かせないで!マリア、この作戦で良い?』
『もちろんです!さすがルーシー!』
『了解した。お前は自由に攻撃してくれ!』

 「お前」じゃあ誰か分かんないじゃない。まあ、私を見てたから私だとは思うけど。
 わざわざ自由に攻撃、というからには「ポジションを」自由にしてくれ、という事か。

 私は前衛と後衛、両方をこなせる珍しいタイプだ。そして、今までソロでやっていたから、「全てをひとりで」やれる。

『……了解!』

 ちょっと調子に乗りすぎたかなあ、などと考えていた私は、快くこの案が受け入れられた事に安堵する。
 私はとりあえず、王子に話しかけた。

「大丈夫ですか」
「え、あ、ああ……」
「仲間がいますから、ご安心ください。あなたの安全は確保します」

 今更言うのもなんだが、この王子はなんていうか……ドジ?
 今立ち上がろうとして、顔面からずっこけた。大丈夫〜?
 もちろん心の中だけですとも。顔には出さない。心の中では何を思っても無実だ!例え、「こいつって馬鹿?ドジすぎだろ」とか思っても!
だってだって、あんなおっきい奴に装備が紙みたいなのに一人で挑んで、作戦も正面から斬りかかるっていう……勝ち目はゼロ。勝てたら超人。


———ヘラクレス(英雄)?
———いや、それ以上。


 馬鹿って言っても良いよね?
 もう一言余計に言うと、弱い。

「……もうそろそろ終わらせようか」

 私は剣ではなく杖を手に持ち、頭上に掲げる。
 杖は魔術師である私が本来持っているはずの武器だ。基本は魔法の発動体である。私は何故か必要ないが。
 おそらく、このゲーム音痴が幸いしているのだと思う。私が読んでいる本とかでは、杖を発動体とするものも多いが、それ以上に自らの魔力を練り、それを自分の掌とか、体のどこかから魔法という「形」にするものが多かった。そのため、私は「イメージのみ」で魔法を発動させる。つまり、「杖というイメージする能力を補助するための道具」はいらないのだ———と、勝手に考えている。
 思い込み最高!思い込み様様である。

 杖を普段持たない私が杖を持っているので、他のメンバーはどんな大技を繰り出すのか、見守っている。
 ……カッコよく見せたいだけだから、気にしないでね?
 何故か魔女までもが私を驚愕の表情で見ている……いや、「私の杖」を。
 この杖、普通にアイテムとして入ってたよ?モンスター討伐クエスト報酬として。珍しいもんでも何でもないと思うけど。

 カッコよく見せるための作戦、その二。魔法陣!
 魔法陣、バンザーイ!
 普通、魔法を起こすのには魔法陣は必要ない。必要なのは転移の時だけ。

 ……もう分かったかな?
 転移するときに魔法陣が必要。つまり、転移するときには例外として魔法陣が現れる。

 ……じゃあ、転移させれば魔法陣出るの?
 そう言う事。
 もうすでに実験済みである。
 まだ皆と出会う前、ソロの時に遊び半分で。今も遊び半分……いや、遊びほとんどでやろうとしてますけど。


 待て待て、お前は何を転移させるつもりだ?


 よくぞ聞いてくれたぞよ!
 転移させるのはもちろんでっかいモンスター……ではなく。


———空気♪


 空気を召喚しますっ!
 私の目論見を最後まで話そう。

 まず、杖を掲げる。
 その次、私を中心に魔法陣が出現。(下に巨大なのが一つ。サイドに三個。計四つ)
 最後、戦いにおいて一番重要な攻撃。台風を起こす予定。
 最後の台風にもちょっとしたお遊びを入れるつもりである。

(空気、召喚)

 これは召喚スキルね。
 魔法陣が四つ出現!順調!

 さあさあ、皆の者、ご覧あれ!驚いて固まってるその場一同よ!

「大いなる神に導かれし者、ここにあり。今、風の神よ、我に祝福を! 禁じられた力を解放せよ!!」

 表向き、顔は穏やかに笑っていて。心の中では、やった、成功!と大笑い。
 得体のしれない圧倒的な力を持つ者には、恐怖倍増!
 しかも、私の仲間であるはずの子達の反応も含めて、これが笑いごとではない事は分かるのだよ。

 まあ、表向きは遊びではなく、「合図」にしておこう。私は広域魔法をほとんど使わないからね。
 それと、魔女さんごめん。遊び過ぎたかも。顔が青いよ、いや、白いよ。


———グガアアァァァァァァ!!


とうとう、ドラゴンと魔女は光の粒子となって消え去ったのだった。


———


 こんばんは、アウリンです。リアルでひと段落したので、一話投稿しました。

 雑談をすると、今日は学校の方で合唱祭がありまして、私のクラスが見事、優勝しました!
 実はクラスは変わりますが、去年も優勝したんです。二連続ですよ!


  「目指せ、三連続優勝っっ!!」


 これ(↑)が今の私の意気込みです。いつ萎むかはわかりませんけどね!