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Re: 約束の剣〜デスゲーム〜 ( No.15 )
日時: 2015/11/25 00:45
名前: アウリン ◆gWIcbWj4io (ID: H/64igmC)


 言い忘れていました!
 シアンとくえくえ以外、女です。


———


第三章  古代竜


〜1〜

 とうとう、ドラゴンと魔女は消えた。

「終わった。皆、お疲れ様」

 私がしばらくして言うと、周りの唖然としていた人たちも動き出す。

「さあ、殿下。どうぞ、奥へ。姫君がお待ちしております」

 私が促すと、王子は頷いた。
 王子が階段を上って行き———また何度か転びかけた———見えなくなった頃。

「ねえルーシー、さっきのあれ、何!?」
「私も気になります!」
「え、えっと……」

 一気に女子組に聞かれ、私はたじたじだった。

「簡単に言うと、シアンが言ってたので『物語の通りに』ってあったよね。だから、なるべくそれっぽくなるように頑張ってみました……」

 三人の迫力、凄まじい。若干、怖い。
 シアンは遠くから不思議そうに私を見つめていた。

 なんとなくそれっぽい理由を並べてみた。別におかしな事は言ってないよね?嘘ではないし。本当の事の一部を切り取っただけ。大丈夫!たぶん……。

「いやでも、皆が頑張ってHP削ってくれたからできたんだよ!」

 私はほめられっぱなしでなんだか照れくさかったので、そう言い返す。

 しかししかし!
 これが爆弾発言だったのだ。

「は?」
「え……」
「ルーシー、ドラゴンのゲージ、見てた……?」

 そう言えば見ていない。

 あれだけ時間があれば結構削れているだろうと思って、確認はしていなかったな。
 まあ、どっちに転んでも痛くは無い方法だったし?
 まず、私のが最後の一撃になればまあ、カッコよく決まりました☆でしょ。失敗しても、「さあ、皆!今のうちに!」とかすればなんとかなる。
 でも、危険だったのは確かだね、今後気をつけます。

 ……と、話したのだけど。
 マリアからは呆れられ、シアンには引かれ、他の二人には唖然とされた。

「あー、ルーシー」
「はい?」

 シアンに呼ばれ、私は返事をする。良い子でしょ。

「あの時のゲージはほとんど減って無かったんだよ……」

 は?

「つまり、ルーシーがほぼ一人であいつを倒した事になります」

 え……。
 マジッすかっ!!

 驚きすぎて声が出ない。

「残りMPも結構あるみたいだし。まあ、それは簡単な魔法を組み合わせただけだからだとしても!二つ以上の魔法を同時に使うだなんて!おかしいでしょう!!」

 この戦いで、私はやはり、とことん規格外イレギュラーなのだ、と思い知った。

 しばらくして。

「なんか、外に活気が復活した?」

 そう言えば外に町があったような気がする。

「物語では確か、姫が目覚めたのと同時に、他の眠っていた者たちも目を覚ます……」

 アーナが言い、私たちは外に出た。

「う……わ」
「すごい人」
「なんじゃこりゃ。あの時のモンスター並みのうじゃうじゃ具合……」
「あなた方は……」
「怪しいものではありません大丈夫です問題ありません心配しないでください用事が済めば帰ります!!」

 マリアが言い終わると、声をかけてきた張本人は目を丸くした。マリアはゼーゼー言っている。

「あの、それでは」

 声をかけてきたのは門番?的な人だろうか。武装していて、男の人だ。
 私はその人に頭を下げて出ていこうとする。

「お待ちください!」

 と、若い男……というより、あの王子の声がして後ろを振り向く。

「お待ちください」

 さっきは階段の上から叫んで、今は一階に着いてから言っている。

「皆の者、私は隣国の王子、カイン!姫君は目覚めた、それもこの者たちのおかげだ!」

 王子は言う。だが、誰も耳を貸そうとはしない。
 そう言えば、何年この人達は眠っていたんだろうか。もし100年とかだったら……。

「みなさん、このお方の言う事は確かです」

 おお、カモン姫君、私はまだ牢屋には行きたくないぞ。

「私を信じて下さい」

 信じない奴は馬鹿だ。自分の国の王女を信じない奴がいるか?

「姫……」
「お、お目覚めに……」

 うん、彼女は本物だったようだ。
 本物の王女だと認められたようだ。これで偽物王女だったらどうしようかと思った。
 怪しい人が怪しい人を怪しくないって言っても怪しい物は怪しいしね。

「このお方が王子である事も、この方たちが私を助ける手助けをしてくれた事も、確かな事実です」
「これはこれは、無礼をお許しください」

 皆が一斉に頭を下げた。私達や王子に向かって。
 何故私たち……?
 ってかさ、王女は私たちの戦闘は見ていないはずなんだけど。王子から聞いてうのみにしたか。

 そして頭を下げられた私たちはというと。
 ローズはまんざらでもない顔をしている。えっへん、と可愛らしい笑顔で胸を張っているのが可愛らしい。マリアとアーナは微笑んでいる。
シアンは落ち着いているようで、ザ・クール。
 私は一人だけ慌てている。

 ちょっとぉ〜?私たち、一・般・人、だよ!


 しばらくして。
 私たちは町に戻る事にした。
 道中は普通にモンスターたちに出会った。まさしく平和———モンスターがいる時点で平和なのかどうかは分からないが———だった。

「とりあえず、第一関門、突破!」
「ところでルーシーは何を貰ったんですか?」
「え?ああ、あれの事?」

 私はアイテムボックスから奇妙な形の金色のマークを二つ、取り出した。

「……これは?」
「なんかのアイテムらしいけど、今のところは分かんないから保留……かな」

 そう言って私はまたもやアイテムボックスにそれをしまった。

「武器屋のおじさんに見てもらうよ」

 南門から中に入ると、大勢の人でごった返していた。

「人多いな……」

 ガヤガヤという音に混じって、シアンの溜息が聞こえた。

「私たちはこれで解散かな」
「え?」

 マリアの言葉に、私は驚く。

「ルーシーが王女様と話してる間に、こっちでも話してたの。解散しないかって」
「今回の事で、はっきりしました。私たちは、今は、解散するべきです」
「俺たちはレベルが違いすぎる」
「……正確に言うと、経験値は敵に与えたダメージで変わるんだ。だから……」

 そうか……私は足を引っ張っていたのか……。
 まあ、あれだけお遊びを満喫したんだからね。迷惑だったのかもしれない。でも、私がこのやり方を変えないだろうことは皆にも分かったのだろう。
 少しだけど、しんみりしてきた。

「そっか。今まで、ありがとうね」
「ううん。また会おうね」
「何かあったらお互いさまだよ!」
「PTを出ても、一緒に戦ったらいけないわけでもありませんし、永遠の別れでもありません。また、会いましょう」

 私は自分をPTから外した。
 ピロンという音が鳴る。

「それじゃあ、またどこかで」
「ああ」
「うん」
「はい」

 私が言うと、皆微笑んで返してくれた。
 こんな人たちが、永遠の仲間、とか、永遠の友達、無二の親友、とか言うのだろうか。

 そこで、マリアが何かを呟いたような感じがした。しかし、その内容までは私は聞き取れなかった。


『いつか、ルーシー、あなたに追い付きます。その時まで……』


———


 ちょっとしんみり系です。キリがいいところ、と思っていたら、短くなっちゃいましたw

 次はチート武器が出てきますよ〜