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Re: 約束の剣〜デスゲーム〜 ( No.22 )
日時: 2015/11/26 22:32
名前: アウリン ◆gWIcbWj4io (ID: laaGvqHD)

第四章  増えた仲間


〜1〜


「居たぁぁぁっ!!」
「うわぁっ!?」

 スキル姉さんの店でダブったスキルを売っていると、後ろからいきなり大声が飛んできた。

「な、何?」
「さ、さあ……?」

 私たちは揃って後ろを見る。

「ルーシーだろ、お前!」

 うえ、気持ちわr……何故それを知っている。

「俺と決闘をしてくれ!」
「……いきなりですか」

 グガーッ!だから私は競技場には入れないのっ!

「お前の実力が知りたい」
「……」

 変な人がここに居る。

「リアルでの名前は?」
「へ?何故それを今聞くんだ?」
「……戻ったら精神病院を紹介してあげようかなーと」
「……皆、揃って俺を苛めるよな……」

 その人物が遠い目をする。
 何か過去にあったのかなー?

 ちなみに私はこの時、彼の言う『苛めてくる人』が自分の知り合い多数とは知らない。

「俺の名前はくえくえ。目当てはその二刀流だ」
「これ?」

 渡すのは惜しいなー。結構かっこいいし、気に入ってたんだけど。

「それで決闘を?」
「ああ。そうだ」
「……少々お待ち下さい」

 私は言うと、相手のレベルを確認、早速クエストボードのある斡旋所に向かった。

「え、あ、おい!逃げるなー!」
「……あなたが逃げる羽目にならないかが心配です」
「ふぇ?」
「いえ、なんでもないので気にしないでください」

 サーヴェル君はなんか大人になったねー、私の無茶に振り回されたせいでは、ない……と思う、たぶん。

「あの人、アリーナに入れないんです」
「え?なんで?もしや違反で追い出された?」
「いえ、彼女は、クエストを受けていないので———」

 「ぶはぁっ!はぁ!?」と、誰かが噴き出す音が聞こえた。空耳かもしれない。最近はいろんな人の幻聴が聞こえる。
 盛大に噴き出したねー。

「……汚い」

 私はその言葉を残して店を去った。


 数時間後。
 クエストをクリアして、私はアリーナへ来ていた。

「えーと、ルーシーです。どうも」
「よっ、ルーシー」

 くえくえがこちらへやってきた。
 なんかこの子って不器用そうだよね。ザ・少年漫画の熱血男子。可哀想に、いじりたくなっちゃうなー。

「ルールは簡単!急所は狙わずに攻撃を繰り返し、KOもしくはギブで試合終了」
「ふぁーい」

 あくびをしながら返事をしたら、何とも気の抜けたものになってしまった。

「さあ、来い」
「お先にどうぞ」

 私がくえくえの言葉にそう返すと、彼は一瞬ムッとしたようだった。

「んじゃ、お構いなく!」

 一瞬でくえくえは詰めてきた。
 私が思っていたよりもスピードが速かったから、一瞬驚いた。

 スピード重視のタイプか……。おそらく、それ用のスキルを使用している。

「ふふふ……面白い」

 私が少し俯いてから笑って言うと、くえくえの顔が引きつった。

(ま、まさか、狂人系……?そう言えば掲示板に戦闘狂っつーか、人が変わるって書いてあったような……)

 ちなみに本人は自覚しまくりの演技である。

「よっしゃー!おもしれぇっ!!」

 私はスピードはさほど速くない。が……。

「ルーシー選手、勝利ーっ!」

 アリーナにそんな声が響き渡った。どこかで聞いた事のある声だったから、私に関わってくれたアリーナのスタッフの誰かだろう。
 うんうん、強かったと思うよー、普通の人にしてはね?
ざーんねん!私はふつーの人じゃないの!自分で言うのもなんだけど、チートなの!

 勝手に自己完結し、試合も終わった事だし、そこに倒れている人は知らないふりして帰るとしようか。

「……ほっとくのかっ!」
「あら?幻聴が……」

 私はあたりを見回して言う。うん、下から声が聞こえたような気がしたけど。んでもって、見えてるけど。

 ……知ーらないっと。

「おーいっ!待てこら!」
「あら回復早い」
「見えてただろ」
「あら、つい口が滑って……」

 知らないふりをするのが一番妥当だと言うのに。私もまだまだである。鍛えなければ。

「お前のその鍛える方向はどっちにだ!?」

 ちょっと遊んでみよー。掲示板にある私の偽の姿も、面白そうなので利用してみる事にした。

 大人しい子、だよね?

「おい、お前、黙って知らないふりするのやめろ」

 ひーどーいー、女の子に向ける言葉にしては、ちょっと強すぎるぞー。
 女の子の接し方が分かっていないのかしら。照れなくても良いのにねー!うふふ……。

「し、知らないふりとか、そう言うのではなくて、ですね、えっと……」

 サーヴェル、笑うな。
 例えこれが彼で遊ぶ、私の好奇心や欲を満たすための演技だと分かっていても!

「……おい、どうした?壊れたか?」
「あうぅ……こ、壊れてなんか、いませんよ!……た、ぶん……」
(噂は本当だった!こいつの頭はどうなってやがる!)

 あたふたとしはじめました、くえくえちゃん。

(かーわーいーいー!)

 最近の子たちの真似をしてみるとこんな口調になるのである。以前誰かに言い、お前はどうなんだ、と突っ込まれたのは記憶に新しい。
 このまま遊んでいるのも楽しそうだったけど、サーヴェルの視線が痛いので適当に止めておく。

「あの、よかったら一緒に旅しませんか?」
「え?」
「サーヴェル君も」

 二人を誘ってみる。
 ……いかん、君付けなどしてしまった。これもオプションか。

「ダメ、ですか?」
「いや、それは……」
「僕は良いですよー」

 くえくえがあたふたしてるのに、サーヴェルはあっさり了承。
 勧誘お願いね、PTをくみたいの、メンバーほしいの、んでもって一人はとーっても寂しいの!
 決して苛めるの楽しいとかじゃないよ!

「良いんじゃないですか。デメリットもありそうですけど、メリットもあると思います」
「……ちなみにそのデメリットとは……」
「苛めです。大丈夫、可愛いものです。死にはしませんから」
「余計に性質が悪そうだな」

 なんか酷い事を言ってるなー、私も参加しよ、っと。

「気にしない気にしない」
「「お前が言うなっ!」」

 あらー、二人とも意気投合!ってわけでPT組もうねー(ほぼ強制的に)。

「サーヴェル、お前本音は?」
「彼女を敵に回したくないので協力はしません」
「アリガトウ」

 それからモンスターをバンッバン殺してたら、なんかフラグたっちゃいました!

「これは……」

 不思議の国?アリス?一応マップでは「トランプの里」となってまーす。

「間違いないね」

 私が楽しそうに言ったら、免疫のない誰かさんがやられちゃった、あはは、ごめんね!大丈夫、隣の人みたいにいつかは慣れるさ。
 ……慣れって怖いねー。

「とにかく……」
「とつげーき!」
「そこは落ち着け、引くぞ、それが普通の奴の判断だ!」
「私、頭悪いからわかんなーい!1足す1は1っ!」
「それは1掛け1だ」

 くえくえ様、真面目な突っ込みありがとう。神経擦り切れるよー、サーヴェル君見たく、受け流せー。

 こうして私は、次の中ボスがいると思われる「トランプの里」を発見し、しょぼい仲間を二名ほど手に入れた。
 まだまだ道のりは長いよー、がんば♪


———


 ルーシーがなんか、はっちゃけてきたwwはじめ、こんなキャラでしたっけ?

 この第四章はぶっちゃけ、つなぎです、次の章に行くための。

 というわけで、次は掲示板でーす……。早すぎるなんて、言わないで下さいよっ……