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Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.14 )
日時: 2015/12/22 11:51
名前: 逢逶 (ID: XnbZDj7O)

episode13
title 想い

誠side

君を苦しめたいわけじゃない。
君の苦しそうな表情を見るたび、罪悪感がふつふつと湧いてくる。
君を苦しめたくなんてない。

俺は最低な男だ。

君が好きだ。
愛してる。
それなのに上手な愛情の表し方がわからない。

好きだ、と言えば君は笑うのだろうか?
両親から〝子供を早く作れ〟と急かされる、君。
泣きそうに俺を誘って、その誘いを断ったら…、君はもっと辛そうな顔をするのだろうか。
両親を止めたら、君は俺から離れて行ってしまうのだろうか。

君の幸せか、俺の自己満足か。

どちらか決められない俺はダメ夫。
金と地位があるだけの非道な人間。


君に謝らなければいけない。
許してもらえないかもしれないけど。

俺は君がどれだけお義母さんを大切に思っていたか知っていたのに、お義母さんの死に際に会わせてあげられなかった。
行かせたらもう二度と帰って来ないんじゃないかと思ったんだ。

君を手放したくなかった。

正直、会合なんてどうでもいい。
君をこの手の中にしまっておけるなら、今持っているものを全て捨ててもいい。



君と出会ったあの頃が一番幸せだったのかもしれない…。

当時、俺は両親への反抗が強く、次期the SOUNDs社長ということを隠して広告代理店に就職していた。

俺は女に興味なんてなかった。
近づいてくる女は山ほどいたけど魅力は感じない。
軽くあしらっていた。


「なぁ、誠…。俺、すげぇ可愛い子見つけた」

「あっそ」

目を輝かせている同期の安田。
どうせそうでもないんだろうな。

ランチの約束を取り付けたから一緒に来て欲しい、とそう言われ、仕方なく付き合うことにした。

「あ!いたいた!織さぁん!」

「あっ!安田さん!」

人混みをかき分け走ってくるその子に俺は一瞬にして心奪われた。

「舞岡さんも一緒なんですね!久しぶりに楽しい昼食になりそうですね!」

「そうだね!…こいつ無愛想でごめんね?どうも女に興味ないみたいで」

そんなことない。
肩までのゆるく巻かれた黒髪。
大きくて澄んだ瞳。
小柄で華奢なからだ。

全てが俺を高ぶらせた。

ランチの帰り番号を交換してしばらく連絡を取り合った。
社内で君を見つけると嬉しくなった。

しばらくして安田がフられた、と聞いた。

「お前も織さん好きなんだろ?俺のことはいいから…、早く告っちまえ」

「…」


俺はただ君だけを想って走り出したんだ。



告白した時の君の嬉しそうな顔。
今まで見て来たどんな物より美しかった。



好きだよ。

愛してる。


どうしたらこの想いは伝わりますか?