コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.25 )
- 日時: 2016/01/07 11:57
- 名前: 逢逶 (ID: z5Z4HjE0)
episode6
title 偶然
「誰からだ?」
私はとんでもないミスを犯してしまった。
誠に怒鳴り声を聞かれてしまったのだ。
「別に…」
「別に、ってどういうことだよ」
誠には言えない。
「…なんでもないから」
誠は私の手から携帯を奪った。
「見るぞ」
止めることができなかった。
助けて欲しい。
私を愛していないとしても。
同情でもなんでもいいから。
助けて。
「この番号誰?」
「…元カレ」
「…学生時代のか?」
「…はい」
誠は大きくため息をついた。
そしてそっと私に詰め寄り、抱きしめた。
「相手はなんて?」
「…私が好きだって」
「そっか。…あのなぁ、別れる時はきっぱり別れなきゃダメだ」
私に説教するの…?
確かに別れは曖昧で。
でも確実に終わってた。
私はあの時どうにもできなかったんだよ…?
「…最低ですね」
「え?」
「私のことなんて何も知らないくせに!」
誠を突き飛ばし、家を出た。
「待て!織!」
タクシーに乗って、誠から逃げる。
〝何も知らないくせに〟だって。笑えるね。
大事なこと何も話してないのは私なのにね。
「お客さん、どこまで?」
「館川街行ってください」
当分家に帰りたくない。
お金も持ってるし、大丈夫。
誠はいつも財布を持ち歩くようしろ、と言っている。
だから今日も財布はポケットの中にある。
館川街には安く泊まれるホテル、食べ物屋が沢山あって、便利だ。
だからって来たことはない。
外は寒いしお腹も空いてきたから、居酒屋に入った。
「…あれ?織さん?」
「あ、こんばんは」
カウンター席には人気男性グループのchuuumがいる。
theSOUNDsと契約しているグループである。
「一人でどうしたんですか?」
「気分転換です」
「そうですか。よかったら一緒に飲みませんか?」
「はい、失礼します」
「もう少しで先輩も来るんですけど…」
「先輩…?」
「はい。Streamの成瀬さんと有明さんが」
こんな偶然ってあってもいいのだろうか…?
あなたは私が辛い時必ず現れる。
だから期待してしまう。
この気持ちを止める方法を私は知らない。